岐阜県は8月30日、第4回「内ケ谷ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場」=写真=を県庁内で開き、前回の会合で示したダム建設と河道改修を組み合わせた現行計画を継続させる対応方針案に、植物や魚類、猛きん類を保護するための具体的な環境対策を追加した報告書(案)として国へ提出することに決めた。今回の会合が最終で、今後は9月に開催予定の県事業評価監視委員会に諮った上で知事が県の方針として決定。報告書として早期の国への提出を目指す考えだ。
追加対策は、県民からの環境への影響に関する意見などを受けて、同ダム環境影響検討委員会による意見も踏まえ、ダムによる自然環境への影響の回避や低減を目指す上で検討。動植物の具体的な環境対策として貯水池水面付近のステップの設置や人口巣の設置などによる生息環境の確保、ダム貯水池での生息が困難となる底生魚類などのダム上流域への移動放流と生息場所の確保・産卵床の造成、浅いよどみや水生植物の確保など稚魚が生息可能となる自然繁殖に適した水域の整備−などを挙げた。
また、猛きん類についてはクマタカの生息と繁殖に配慮した工程と工法の選定や継続的な定点観測の実施・工事の影響を低減させる取り組みのほか、人工林の間伐などによるハンティングエリアの確保。植生については残土処理場予定地とダム建設予定地の掘削表土を利用したダムの掘削法面や残土盛立法面の緑化−などを盛り込んでいる。
これら対策案は、徳山ダムや丹生川ダムで同様の対策を実施し、効果が出ていることから、環境への負荷を低減できるとして検討の場で認められた。事業費は3〜4億円を見込んでいる。
ダム現行計画は、河道改修で計画高水流量が板取川より下流で毎秒4800立方b、上流で毎秒2900立方b。ダムは総貯水量約1150万立方b。総事業費は約390億円で河道改修費は板取川より下流で約242億円、上流で約56億円、ダム建設残事業費が約91億円などとなっている。