建通新聞社
2011/09/01
【大阪】大阪府 府庁舎本館 東館を70億円で耐震改修 9月補正で設計費
大阪府は、府庁舎本館(大阪市中央区)に関して、歴史的・文化的価値の高い東館を基礎免震と耐震壁により耐震補強する方針を固めた。西館は建築的価値が低く、長期的な保存の必要性も低いとして東館の耐震完了後に撤去する方針。9月補正予算に設計費1億2,186万円(債務負担含む)を計上。2012年度末に工事発注し、13年度に着工。15年度末までの3カ年継続で施工する計画だ。工事費は約70億円を概算している。
東館はE字型の施設で、延べ2万5,000u。歴史的・文化的な価値のある部分に加え、鉄筋コンクリート造の規模と大きさ、外観デザインなどに価値があるとして建物全体を保存する。大正期(1926年建設)の希少な近代建築の傑作と評価が高い。3層吹き抜けの玄関ホールは映画やテレビ撮影の舞台としても活用されている。耐震改修後のIs値は0.9となる見込み。
西館は東館の西側に増築したコの字型施設で延べ9,000u。仕上材のグレードが東館と異なるなど、建築的価値は低く、長期的な保存の必要性は低いとして、東館の耐震完了後に撤去する方針。撤去費用は約3億円を概算する。
設計費1億2,186万円のうち、11年度は2,186万円を執行し、12年度も設計作業を継続する。
学識経験者の所見によると、竣工時の面影を残し建築的価値が高いと思われる個所は、外観、正面玄関、3層吹き抜けホール、正庁、知事室、議長室−など。@大正末期における先進的な外観デザインを有する庁舎建築で、文化財的価値が高いA正面玄関や南ウイング外壁は本館建築の壮大さを視覚化する重要な要素で都市景観上の価値が高い−などと評価。歴史的価値を有する部分(議場など)の復原や、撤去部分と保存部分との境界部分の適切な改修、リノベーションが望ましいとしている。