建通新聞社(中部)
2011/08/29
【三重】久留倍官衙遺跡の保存整備の基本設計素案を公表
四日市市は、大矢知町にある国指定史跡「久留倍官衙(くるべかんが)遺跡」の保存整備に向けた基本設計素案を公表した。遺構の復元や公園的空間整備を盛り込んでおり、市民意見を集約、反映させて2011年度中にまとめる。12年度から一部基盤整備などに着手する方針だ。
同遺跡は、国道1号北勢バイパスの建設に伴う発掘調査で確認された奈良時代の役所跡。史跡が所在する場所は、古代伊勢国朝明郡衙跡の可能性性が高く、政庁や正倉院などが把握できるため、建て替えなどの変遷や古代国家の地方支配体制の成立、当時の役所の在り方などを具体的に示すことから資料的価値が高い。
遺跡の保存整備は、史跡指定されている大矢知町字久留倍2267ノ8ほかを含めた、約2万7000平方bの敷地で行う。西側の史跡指定地区は遺構の復元や展示などを行い、歴史の追体験ができる場のほか、園路や広場を設け、身近な公園的空間として整備し、東側は地下式の調整池や駐車場などを設けてエントランス地区に活用する。
遺構の整備に当たっては、当時の建築などの日本文化を学ぶ空間として遺構の表示や復元を図る。政庁の八脚門を復元するほか、正殿は立体表示、脇殿と倉庫、正倉院などは平面表示を予定している。
また、敷地内に設置するガイダンス施設は、遺物・模型・パネル展示・映像展示などの展示ガイダンス室(約70平方b)、事務室やトイレなど(約70平方b)を配した合計約140平方bを整備する。
年次計画では、11年度に全体の基本設計とともに、エントランス地区の実施設計をまとめる。12年度から史跡指定地地区などの各実施設計、エントランス地区は造成に向けた基盤整備などの着手を予定し、13年度以降遺構整備などを行い、17年度に全体の完成、供用を見込んでいる。