日刊建設工業新聞
2011/08/11
【鳥取】県土整備部電子納品ガイドラインを策定/委託業務すべて建設工事は試行10月から電子化スタート
県土整備部は 「電子納品運用ガイドライン (簡易ガイドライン)」 を策定した。 業務の効率化と省スペース化を図る目的に、 国土交通省の要領・基準を簡素化し、 電子納品を実施するために最低限のルールを盛り込んだ。 10月1日以降に起工決裁する委託業務のすべて、 建設工事は予定価格4000万円以上の中から試行対象工事を選定した上で実施する。 また、 受注者側から申し出のあった場合にも適用する。
これまで建設現場では大量の書類が作成され、 保管する場所にも苦慮しており、 電子化に着手することによって省スペース化や将来的にはデータベース化を図り、 受発注者双方の利活用につなげる。
策定した簡易ガイドラインによると、 電子納品は国交省の要領、 または県の簡易ガイドラインのどちらかに準拠して実施するものと規定。 CD−R、 DVD−Rの電子媒体を使用し、 施工計画書、 工事打ち合わせ簿などを各フォルダーに納める。
国交省の要領では、 「電子納品チェックシステム」 を取り入れてファイル名やレイヤー名をチェックしているが、 簡易ガイドラインはこれらの成果品を受発注者が目視によってチェックするのが特徴。 フォルダー・ファイル名は、 8・3形式の半角英数字 (国交省要領) などの指定は行わず、 日本語で入力するほか、 CADで使用する線種、 線色、 線幅についても基本的に任意とする。
同部は 「原則、 電子化したものは、 紙は必要ない」 (技術企画課) とし、 電子納品書類の一覧表を作成し、 電子データと紙の区分を明確にした。 業務報告書などを電子化する一方、 契約関係書類や工事週報、 安全日誌などは対象外とした。
ただ、 工事検査上、 必要となる出来形管理や品質管理、 写真、 図面については電子データとともに紙による書類作成を求め、 工事写真は 「写真管理基準」 に沿ったダイジェスト版を提出する。
また、 電子納品の実施にあたり、 積算上は現行の諸経費内での対応とし、 委託業務、 建設工事ともに歩掛かりなどの割り増しはしない。
電子納品をめぐっては、 先行する国交省でも今年4月から要領を改定し、 電子化の対象範囲を見直すなど試行錯誤が続いており、 受注者側からは、 電子データと紙の両方を納める、 いわゆる 「二重納品」 をはじめ、 コスト面での新たな負担を指摘する声が上がっている。
これに対し、 同部技術企画課は 「簡易ガイドラインの位置付けは、 電子納品をするために必要最低限の取り決めを定めたもの」 と説明。 その上で 「試行して問題点があれば、 改善していきたい」 と話している。
9月6、 7日には、 県土木施工管理技士会が主催する講習会で、 今回の簡易ガイドラインを説明するほか、 発注者側の内部でも勉強会を開き、 電子納品制度を導入する。