建通新聞社(中部)
2011/08/11
【三重】「海岸保全施設老朽化判定等」パシフィックコンサルタンツ
三重県県土整備部は、海岸堤防などの施設の老朽化、耐震性を判断するため「海岸保全施設老朽化判定等」の調査をパシフィックコンサルタンツ三重事務所(津市)に委託した。調査工期は2012年2月28日まで。11年度中に調査結果をまとめ、緊急を要する個所については11年度に工事を実施していく考えだ。
同調査は、三重県海岸で県県土整備部が所管する桑名市〜紀宝町までの海岸保全区域のうち、延長195`、198地区の海岸が対象(国直轄、四日市港管理が所管する海岸、漁港海岸、農林海岸、自然海岸は除く)で、老朽化の判定、 対象地震の設定と判定、高潮防護に関する判定の3編と全体の調査結果をとりまとめる。海岸施設の整備計画で緊急度、優先度を判断する材料とする。
老朽化の判定は、09、10年度に行った、目視、レーダー調査などによる老朽化点検で、一定度のクラックなどが確認されており、クラックや空洞の量的な評価とあわせて老朽化(健全度)の基準の作成と判定を行う。判定にあたっては、海岸延長約100bを基準延長とし、3509施設について、「A」(要対策)、「B」(重点監視)、「C」(重点点検)、「D」(健全)の判定を行う。Aは、老朽化対策のみを行う場合の設計事例を作成。B、Cは点検計画を作成する。
対象地震の設定は、04年度までに、レベル1地震(施設の供用期間中に1〜2度発生する確率を有する地震動)に対しての耐震調査を実施しており、その結果に基づき、レベル2地震(内陸直下型または海溝型の地震動)の照査の必要性について検討する。検討内容は、内陸直下型で影響を受ける海岸(ランクT)と影響を受けない海岸(ランクU)の種別と周辺状況を整理する。条件として、最低地盤高の高さ、背後地の人口の集中度、需要施設の有無などを照らし合わせ区分し、各海岸の耐震化を検討する際の地震のレベルを設定していく。
高潮防護の判定は、伊勢湾台風の高潮を想定して整備した海岸堤防について、完成後約50年経過していることから、前提となる高潮の「換算沖波」、「越波流量」を算出し、新たな高潮防護の必要性を判定する。
以上の3調査の結果を合わせて、海岸または区間ごとに老朽化、耐震化、高潮に対する補強などの必要性を検討する。
※中見出し 12年度に津波対策検討
県では、東日本大震災を受けて、津波対策の検討を12年度に行う計画だ。今後、国の方針などを見据え調査を行い、11年度に実施する今回の調査結果との整合性を図っていく考えだ。