建通新聞社
2011/08/09
【大阪】大阪府 咲洲庁舎追加補強・大手前庁舎設計再開 9月議会に上程へ 専門家会議で方針示す
大阪府は9日の「咲洲庁舎の安全性と防災拠点のあり方等に関する専門家会議」(座長・河田惠昭関西大学教授)で、「咲洲庁舎の安全性等についての検証結果」を報告した。9月府議会に咲洲庁舎の追加補強の対策費と、現本庁舎の耐震補強に向けた設計費などを上程する方針を伝えた。さらに、咲洲庁舎では、まだ超高層で改修事例のない「中間免震補強」の実現性を、現本庁舎では、想定以上の「レベル3」への対応の必要性を検討するとした。
専門家会議は、防災拠点の在り方などについて、専門家から助言を受けるために府が設置。今回、これまでの意見を踏まえて、府としての方向性を定めた。
咲洲庁舎(旧WTC、大阪市住之江区)では、長周期地震動対策として、2011年度当初予算で約23億2,000万円を予算化(債務負担行為)。オイルダンパー40台・鋼材系ダンパー112台の設置、水槽・エレベーター対策、発電機設置を行う計画だった。さらに、東日本大震災の被害を受けて、オイルダンパー144台の設置(約7億円)を追加。
今回、専門家会議での指摘を参考に、オイルダンパーの追加と、低層階での一部柱・ブレース補強を実施する計画。追加費用は約18億円にのぼる。
加えて、短辺方向の振幅軽減に有効な中間層免震を24階部分で検討する。同方式ではエレベーターの改修などを含めて約130億円の経費が必要。また、委員からは建物の階数を減らす「減築」の提案があり、今後の検討材料とする。
一方、現本庁舎(大阪市中央区)では、現在の法基準(レベル2)で耐震補強の基本設計(概算事業費約79億円)まで作成したが、現在は凍結状態。今回、大地震への早期対応として、設計を再開するほか、想定以上の地震動(レベル3)への対応も検討する。