近畿建設青年会議(桑原伝浩会長)は6日、高島市安曇川町の道の駅・藤樹の里あどがわで「水のない水族館」を開催した。びわ湖の日30周年を今年7月1日に迎えたことを記念したイベントで、近畿各地から青年会議のスタッフが集まり、琵琶湖の環境保全の必要性や建設業と環境保全の関りを多数の来場者にPRした。
イベントでは、琵琶湖に生息する在来魚61種類(19年11月時点)のフィッシュアートやそれぞれの魚の説明パネルを展示し、アンケートやクイズ、子ども向けの塗り絵などで琵琶湖の現状と水質・環境保全についてよびかけるとともに、魚道ブロック設置等の環境保全工事、滋賀県建設青年会議のヨシ植栽活動など水質保全、水辺再生における建設業の取り組みを紹介した。
イベント開始時刻の午前10時には既に多数の来場者で賑わい、休憩に立ち寄った親子連れや周辺住民らが琵琶湖固有種であるホンモロコ、ビワコオオナマズ、固有種で希少種でもあるビワマス、スジシマドジョウをはじめ各作品を興味深く鑑賞しながら、在来魚の生態、外来魚の移入による在来魚の危機的状況、魚道を確保する建設技術など知識を深めていた。
来場者らに配布された在来魚一覧表によると、19年11月時点で計61種が生息し、琵琶湖固有種15種、希少種(レッドリスト)14種となっている。このほか、豊富な写真や図により、琵琶湖の概要や生物、一年の漁から、環境保全への課題、在来魚を増やす取り組みに至るまでをわかりやすく説明したパンフレット「わたしたちの琵琶湖と魚たち」を配布した。また、渓流景観に溶け込み、魚がのぼりやすい流況(STEP&POOL構造)を創出する魚道ブロックの資料も同時に配布した。
桑原会長(滋賀県建設青年会議委員長)は、「子どもの頃から慣れ親しんできた琵琶湖の環境保全に向けて少しでもPRできればと企画した。建設業も魚道ブロック工事をはじめ環境との関係が深いことを知ってもらいたいと思う」と述べ、早くからの賑わいに明るい表情で語った。
来場した近畿地方整備局企画部の安原達企画調整官は、「建設業が一般向けに建設と環境保全をテーマにPRすることはめずらしいと思う。災害復旧や除雪などで建設業の役割が知られつつあるが、こうした地道な取組が一般からの理解を深めていく」と評価した。
フィッシュアートの全作品は、高槻市在住のアマチュア作家・渡辺隆雄氏が約1年間をかけて制作した。渡辺氏は、建設と環境について「イギリスでは断熱材に羊毛を使い、自国のものでサイクルさせている」と海外の進んだ事例を示し、「日本の建設業も環境分野にまだまだ進出してもらいたい」と話した。