液状化により沈下した県営日の出住宅の「集会所復旧工事見学会」が7月30、31日、県土木部都市局住宅課と一般社団法人・県住宅管理センターの主催により行われた。工事はジャッキアップによる沈下・傾きの修正と内外装の撤去・復旧を計画。見学会には、液状化被害を受けた被災者ら計300人が2日間で詰めかけた。
この見学会は、液状化による家屋沈下の復旧工法に関する情報を提供するため企画されたもので、当日は潮来市や鹿嶋市、神栖市の被災者らが参加。
対象の建物は、日の出小学校から約800m、日の出中学校から約600m離れた場所(潮来市日の出5−19−1)に立地。集会所はW造平屋建て延床面積95u。液状化により半壊に相当する不同沈下(沈下量288o、傾斜100分の1)の被害を受けた。
工事は、各種工法の中から、基礎と土台の間にジャッキを挿入し、土台上から持ち上げる「ポイントジャッキ」を採用。計画では、建屋傾斜を補正するため、土台から上をジャッキアップした後、コンクリートを充填して基礎天端を嵩上げする。ジャッキアップ量は396o。
施工は県住宅管理センターからの発注で、給排水の復旧にも携わった指定業者の去O国屋工務店(神栖市)が担当。初日にジャッキアップした後、2日目には基礎鉄筋の組立を行った。
工事は床の張り替えも行われるため、通常よりも若干長い1カ月間を要する見通し。工事費には約600万円を想定。そのうち半分がジャッキアップ費で、残りが床、配管、内外の補修費となる。
なお、今回の工事はジャッキアップにより傾斜を復旧するもので、地盤の液状化対策の工事は含んでいないという。
このため県では、今後、液状化対策のための工事を予定している。工法は、水の抜け道を作ることで液状化に悪影響を及ぼす水圧を分散する「アースドレーン工法」などを視野に検討する。
県住宅課の山田茂技佐兼課長補佐(技術総括)は、「機会があれば、液状化対策工事を行う際にも、見学会を行いたい」としている。
そのほか当日は、ジャッキアップなどを予定している住民らに県がアドバイス。当初の建築工事を行った工務店や設計事務所への相談はもとより、(社)県建設業協会のホームページに記載されている会員名簿などを参考に、数社から見積もりや工事説明を受けて検討する方法を説明した。
出席した住民からは、工法の種類や金額などについて質問が多数。説明後には、同席した県建設業協会の会員らに相談する住民の姿も見受けられた。
提供:日本工業経済新聞