静岡県建設業審議会(会長・小川雄二郎富士常葉大学非常勤講師)の第3回会合が26日、県庁内で開かれ、今後の建設産業の在り方を示す「ふじのくに建設産業ビジョン」のたたき台を事務局の県側が示した。行政が取り組むべき施策として、年間を通じた発注の平準化や、基幹技能者の配置や下請け業者の技術提案などを評価する新たな総合評価入札の検討などを盛り込んだ。また、建設企業に対し、災害時の事業活動の継続を可能とする事業継続計画(BCP)の作成や、維持管理業務やリフォームなど成長が期待される分野の需要の取り込みを求める内容。審議会では、今後の県土づくりに「官民の連携が必要」との基本認識の下、建設業者の“過剰供給”からの脱却に向けた取り組みを盛り込むべきと方向付けた。
たたき台では、「活力ある建設産業」「地域経済のけん引役」を建設産業の目指す姿とし、これを実現するための方策を、@建設産業の再生に向けた取り組みA入札・契約制度の改善B建設企業の災害対応力向上に向けた取り組み―の大きく三つの観点から提示した。
建設産業の再生では、建設産業の健全な発展・地域社会との連携を進めるため、工事などの発注の平準化や、企業連携や合併などによる新事業の展開の支援を行政に求める一方、建設業の取り組みとして地域への貢献や法令順守の強化、BCPの作成を掲げた。
若年技術者などを確保・育成するための取り組みでは、賃金支払いや社会保険などの加入状況の調査・指導を行政に、賃金・社会保険など労働条件の改善や新規就労者の確保、技術系高校などの新卒者の積極的な採用を建設企業に求める。
また、建設市場の“供給過剰”の状態から脱却し、企業として存続するため、建設企業が建設関連分野や新分野に進出することや、企業の再編・転業・廃業も選択肢として検討する必要があると指摘。行政によるこれらの支援が必要とした。
行政による入札・契約制度の改善では、価格と品質を総合的に評価する制度の拡充が必要とし、総合評価方式やプロポーザル方式による入札の拡大、基幹技能者の配置や下請け業者の技術提案などを評価する新たな総合評価入札の検討、ダンピング対策の強化を要請。
さらに、災害復旧など地域で活躍する建設企業の役割が増していることを踏まえ、地域貢献活動の総合評価入札での加点評価や、地域維持事業での地域建設企業に対する包括発注や複数年契約、地域維持型JVなどの新たな入札・契約制度を検討課題として掲げた。
今回の審議会での意見や提案を踏まえ、次回9月の審議会でビジョン案を作成。県民意見を踏まえて11月にもビジョンを策定し、2012年度の県の施策に反映する。
(2011/7/27)
建通新聞社 静岡支社