建通新聞社(神奈川)
2011/07/15
【神奈川】神奈川県の中小企業制度融資 震災復興融資が急増
神奈川県による中小企業制度融資のうち、東日本大震災の影響で経営に支障を来している県内中小企業の資金繰りを支援する「震災復興融資」の実績が、6月に入って急増していることが分かった。製造業と建設業からの申し込みが特に多いという。今月中をめどに4〜6月の第1四半期分の実績を公表する予定だ。
5月補正予算で新設した「震災復興融資」は、東北地方など特定被災区域にある工場が直接被災した場合や、その地域内の事業者との取引関係により業績が悪化したり、震災の風評被害で急激に売り上げが減少したりした県内中小企業者向けの融資。融資限度額は、ほかの融資とは別枠で最大2億8000万円。運転資金や設備資金に充てることができる。
5月27日に融資の申し込みをスタート。5月は実質3日間の受け付けで、融資件数12件、金額は合計4憶7500万円だった。業種は製造業が5件、建設業が3件などとなっている。
6月に入って申し込みが本格化し、同月1カ月間の融資金額は、速報値で138億円に達した。県では、申し込みを始めた当初は、融資の申請準備段階にあった企業が多く、出足がやや鈍かったとみている。業種別では製造業と建設業の割合が高いという。
融資期間は1年超10年以内で、融資利率は1・7%以内。県は、従業員30人以下の小規模・零細企業への信用保証料率を、0・8%から0・6%に引き下げるための経費を助成している。従業員数30人超は0・8%。
中小企業制度融資のうち、東日本大震災後の経営安定を図るための資金は、震災復興融資のほか、「景気対策特別融資」(セーフティ別枠、一般枠)、「激甚災害特別融資」がある。これらの、2011年度5月末時点での融資額の合計は164億円で、制度融資全体の63・7%を占める。
個別の融資額は、セーフティ別枠(国が指定する業種で、市町村の認定を受けた中小企業者・協同組合などの事業資金全般)が136億4650万円で前年度同期比20・4%減、同じく一般枠(最近の売上高などが減少している中小企業者ほかの事業資金全般)が23億1765万4000円で107・1%増、激甚災害特別融資(激甚災害=東日本大震災により直接被害を受けた県内中小企業者などで、事業の再建に必要な資金)が2470万円となっている。