建通新聞社(中部)
2011/07/12
【三重】「三重県地域医療再生計画」(拡充分)(案) 桑名市民病院再編統合など要望
三重県健康福祉部は、3次医療圏(県全域)を対象にした「三重県地域医療再生計画」(拡充分)(案)をまとめ、6月に厚生労働省に提出した。桑名市民病院再編統合や紀南病院整備などのハード面の事業と医療体制の充実などソフト面の事業を盛り込んでおり、2011年度から13年度までの3カ年の計画で、要望額は約106億円に上る。今後、8月ごろ国から地域医療再生臨時特例交付金の交付内示を受けて、内示額に応じて事業計画の修正を行い、交付申請を行う。
県では、09年度に、他地域に比べて医療課題の多い中勢伊賀地域と南勢志摩地域の2地域を対象にした地域医療再生計画を策定した。今回は、10年度の国の補正予算に伴い、都道府県が同計画を策定し、交付金を申請することになった。同計画案では、「救急医療などの充実」「小児・周産期医療の充実」などの3つの取り組みについて具体的な施策などを盛り込んだ。交付決定されれば、13年度までの事業着手を目指して設計などの準備を進めることになる。
ハード面の主な事業の内容は次の通り。
◇桑名市民病院と山本総合病院の再編統合に伴う地域中核病院整備事業
総事業費は106億円。このうち、基金負担分は53億円、事業者負担分は53億円。
計画を見ると、新病院は、桑名地域の医療需要や担うべき医療機能を踏まえ、一般病床数を400床とし、重要度の高い疾患についてはセンター機能を設ける。また、院内保育所を整備する。計画規模は延べ約3万平方b(1床約75平方b×400床)。耐震(免震)構造。建設地は桑名市寿町3地内。事業費の内訳は、施設整備に約68億円、両病院の再編統合(資産買取りなど)に約23億円、医療機器の整備に約13億円、電子カルテ導入に約2億円を見込んでいる。現在、桑名市民病院(234床、1966年開設)、桑名市民病院分院(79床、51年開設)山本総合病院(349床、51年開設)で、施設の大部分は耐震規準を満たしていない。
◇紀南病院整備
総事業費は17億6000万円。このうち、基金負担分は8億8000万円、事業者負担分は8億8000万円。
計画を見ると、施設整備は本館の建て替え、ヘリポートの新設、回復期リハビリテーション病床(40床)新設などや、医療機器では、CTやMRIの整備を図る。
紀南病院(御浜町阿田和)は、救急外来がある本館は老朽化が進み、Is値0・25と耐震性が低い。そこで、本館建て替え、耐震化を進め、ヘリポート施設を本館屋上に設置する。本館は鉄筋コンクリート造4階建て延べ2463平方bで、1965年建設。
◇脳卒中回復期リハビリテーション病床整備
総事業費は4億円。このうち、基金負担分は2億円、事業者負担分は2億円。回復期リハビリテーション病床が未整備の東紀州や同病床が不足している南勢志摩に整備する。
◇こころと身体の発達支援拠点整備
総事業費は57億3000万円。このうち、国庫負担分6506万円、基金負担分は28億3219万円、県負担分は28億3219万円。
県立草の実リハビリテーションセンター(津市城山1)と県立小児心療センターあすなろ学園(同)を、こころと身体の発達支援拠点「こども心身発達医療センター」(仮称)として一体的に整備する。具体的には、病院機能を整備し、居室環境や医療設備などを改善する。調査・基本計画に3000万円、基本設計・実施設計に1億5000万円、建設などに55億円を見込む。