京都府警察本部は、南警察署の建替え整備について、敷地が狭く建築規制も厳しいことから現地建替えは困難とし、移転建替えを計画。現在ふさわしい移転適地を調査検討している段階。移転地が決定すれば早急に整備に乗り出す方針。
南警察署庁舎(京都市南区西九条南田町3/本館RC造3階建、延1102・29u、別館RC造4階建、延1260・95u、車倉庫棟RC造4階建延361u+独身寮488・05u)は昭和32年築で老朽化、狭隘が著しく抜本的な整備が求められている。地域の安全・安心の中核拠点にふさわしい警察署とするため、22年度に策定した基本構想をもとに建設用地等についての調査・検討を進めている。適地調査では、府民の利便性のほか、緊急車両が出入りし易いなどの諸条件をもとに調査を進めている。現警察署は昭和32年築で古い基準で建てられた建物のため狭隘が著しく、また現在は警察官も増員されていることから、その解消が必要となる。加えて東山警察署に設置されたコミュニティコーナーなど地域住民との交流の場も盛り込まれるとみられ、建物規模は現警察署より大きくなりそうだ。23年度予算では南警察署建設計画費として100万円を予算化した。
過去の警察署の大型建築案件をみると、10年度に五条警察署新築工事(10年10月入札/主体…藤井−熊倉−稲継JV、昇降機設備…フジテック、衛生設備…中川−近美JV、空調設備…大進−イワモトJV、電気設備…日本システム−杉原JV)、20年度に東山警察署庁舎新築工事(家庭支援総合センターと一括入札。20年8月〜21年1月入札/主体…公成−ディー・エー・シー−日産JV、昇降機設備…ダイコー、機械設備…影近−日本管JV、電気設備…岡崎−晶和JV)を実施。22年度から中京警察署(仮称)の建設(22年8月〜23年1月入札/建築主体…巖−大安−堀井特定建設工事JV、昇降機設備…フジテック、機械設備…扶桑管−伊藤設備特定建設工事JV、電気設備…豊原−武智特定建設工事JV)を23年度中の完成で進めている。南警察署の移転建替えが具体化すれば、五条警察署(SRC造地下1階地上7階建、延5202・88u)、東山警察署(RC造地下1階地上2階建、延約5400u)、中京警察署(RC造一部S造地下1階地上4階建、延6969・98u)に続く大型建築案件になりそうだ。
田辺警察署耐震化、10月着手
5億2363万円を予算化 府警は警察施設の耐震化を進めているが、22年度末時点で警察施設38棟のうち、18棟で耐震化が完了。20棟が未耐震施設で耐震化率は47・4%にとどまっている。ここ数年の警察署における耐震改修工事は、20年度に西京警察署耐震改修等工事(20年10月入札/建築…大安組、機械設備…大伸工業、電気設備…岡崎電工)、21年度に上京警察署耐震改修工事(22年1月入札/建築…関西−大安特定建設工事JV、機械設備…中川工業所、電気設備…洛南電気工業)を実施。22年度から2ヵ年で亀岡警察署耐震改修工事(22年10月入札/建築…今井建設工業、機械設備…水道センター、電気設備…奥滝電気)を進めている。
府警は田辺警察署耐震改修工事について、23・24年度の2ヵ年で工事を実施する予定。23年度当初予算には1億1863万円を充当。また4億0500万円の債務負担を設定、あわせて5億2363万円を予算化した。
本館棟(RC造3階建、延1381・00u)の耐震改修として、▽RC耐震壁設置(1階1ヵ所)▽開口部閉塞(3階3ヵ所)▽耐震スリット設置(1階2ヵ所、2階5ヵ所)のほか、外壁、屋上防水改修工事、内部改修工事(床、壁(間仕切壁含む)、天井、建具)、電気設備工事、機械設備工事などを予定。このほか、▽付属棟解体工事(倉庫S造2階建、77・76u他)▽別館棟新築、改修工事(RC造2階建、延500u。本館耐震改修等の工事中は仮庁舎として使用、本館の工事完了後、事務室のレイアウト変更に伴う改修を行う)▽仮設庁舎工事(プレハブ2階建、531u)▽付属棟新築工事(倉庫S造2階建、100u他)等を予定する。隣接の府有地約1000uを新たに敷地に取り込んだ上で、既存敷地と一体利用できるよう造成も行う。工期は23年10月から25年3月を予定する。
田辺警察署耐震改修工事の基本設計は建築デザイン一級建築士事務所(京都市上京区)、実施設計はコム・キューブ(京都市中京区)が担当。
次年度以降の工事を見据え、福知山警察署耐震改修工事の実施設計を中村設計(京都市下京区)で進めている。
警察署以外では、21年度に運転免許試験場別館耐震改修工事(21年7月入札/あめりか屋)、22年度に警察学校生徒寮(西)設備耐震改修工事(22年12月入札/建築…角三建設、機械設備…大伸工業、電気設備…オリヂナル電設)を実施。
今後工事を控えるのが、西陣待機宿舎の建替え工事。建替えに伴う基本・実施設計はこのほど三宅建築事務所(京都市左京区)に委託した。総工費は9億6000万円を見込んでおり、工事期間は24〜25年度を予定する。3棟構成の宿舎を現地で建替え1棟に集約する。新棟はRC造5階建、延約5000u。3DKの世帯用49戸、ワンルームの単身用18戸の計67戸を収容する。