建通新聞社(神奈川)
2011/07/01
【神奈川】神奈川県 南足柄市と箱根町の連絡道 測量などを年度内に
神奈川県県土整備局は、箱根・足柄上地域の広域連携を促進し、観光振興や地域活性化につながると期待される「南足柄市と箱根町を連絡する道路」の整備について、2011年度に測量調査と道路予備設計を委託して進める。連絡道路は既存の林道を使う地表式で整備。現況の地形を調べるための測量を実施した上で、線形を図面に記し、改良個所などを把握する。並行して地元や関係機関とも協議を進める考え。松田土木事務所が担当。
06年度に、県と南足柄市、箱根町による研究会を設置し、その後県西地域の市町(小田原市、大井町、松田町、山北町、開成町)なども検討に加わり、五つのルート案を設定した。地下水や動植物への影響を検討し、県民からも意見を求めた上で、ことし2月に南足柄市矢倉沢と箱根町仙石原を結ぶ林道を活用するルート(ルートC)に絞り込んだ。09年度に研究会がまとめた報告書によると、ルートCの延長は約10・9`。
28日に開かれた県議会本会議の一般質問で、杉本透議員(自民党)が連絡道路の整備の道筋などを示すよう、黒岩祐治知事に求めた。
黒岩知事は、「国立公園など自然豊かな地域を通過する。見通しの悪い個所の安全対策や、落石などの防災対策の実施に当たっては、自然環境への影響を極力少なくする必要がある」とした上で、「林業従事者の理解を得るための話し合いや、警察との協議も必要。今年度は現地の測量調査を実施するとともに、関係者との調整を進める」と答弁。事業実施時期を記したロードマップについては、「解決すべき課題を整理した後で示したい」と述べた。
また、道路構造については「自然環境への影響を考慮して、大型観光バスなどが通過できる幅の広い道路ではなく、現在の林道を活用し、乗用車が安全に通行できる(程度の)幅の道路を整備する」との方針を表した。
これに対して杉本議員は、「地元の人たちは、滞留・滞在型の観光地を実現するため、大型観光バスが通行できるような道路が必要との認識でいる」とし、再考の余地があるかどうか、ただした。
黒岩知事は、「自然環境との調和がとれた道路を目指すべきだと考える。今の状況からすれば、大型車両のための道路拡幅整備は難しい」との見解を示した。併せて、「(連絡道路の整備を)さらなる魅力ある地域づくりの契機にしてほしい」と語った。