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北海道建設新聞社
2011/07/01

【北海道】軽油引取税の免税廃止は死活問題−骨材事業者緊急調査 

 2012年3月末で期限切れを迎える軽油引取税の免税措置について、骨材事業者の25%が制度廃止により事業規模を縮小する考えにあることが、経済産業省の緊急調査で明らかとなった。中でも使用量の多い砕石業界は、減税額が1社当たり平均1000万円に上り、現状の収益環境での増税負担は死活問題ともいえる。砂利、骨材とも7割以上が「製品価格に転嫁するのは難しい」としており、一部では事業から撤退する動きも視野に入っている。
 同調査は5月17日から27日までの10日間、日本砂利協会と日本砕石協会の両本部を窓口に実施された。全国から砂利事業者は166社、砕石業者は379社が回答した。
 事業規模について、砂利業の2010年度営業利益は1社当たり平均2200万円、砕石業は1800万円だった。正社員数は砂利、砕石業ともおおむね20人、非正規社員は6人を数える。
 生産コストに占める軽油代の割合は、砂利が11%、砕石14%という状況。減税制度を受けている企業のうち、免税対象の軽油の使用量は砂利業が185`g、砕石業は342`g。減税額は砂利が595万円、砕石は1098万円だった。
 仮に、10年度の収支内容をベースに免税措置がなくなったと想定すると、砂利業の営業利益は1600万円、砕石業は700万円と大幅に利幅が圧縮される。ともに、社員20人を抱える事業規模でなくなるのが現実だ。
 制度廃止によるコスト上昇を「どれだけ製品価格に転嫁できるか」という問いには、砂利・砕石業とも「30%前後」と回答。発生するコストの7割は自社でかぶらざるを得ないと考えているのが実態だ。
 コスト上昇分の補てん策として、両業界とも3人程度のリストラに踏み切る考えが強く、回答企業の4分の1近くが2割程度の規模縮小を検討。そのほか撤退を考えているのは、砂利業で8%、砕石業は14%に上った。
 現行の地方税法では、農林業用機械や漁船など特定の用途に限定し、軽油1g当たり本則15円と暫定税率分17・1円を合わせた32・1円の課税が免除されている。構内専用で動かす砂利や採石の機械も該当する。
 しかし、2009年度の税制改正で軽油引取税が目的税から普通税に移行され、12年4月からは軽油引取税のうち本則分の1g当たり15円を納めなければならない可能性が浮上。軽油引取税のうち本則の15円が骨材業者などへの実質的な増税となるため、公共事業縮小など厳しい業界環境の中で大きな負担と危惧されている。
 こうした情勢下で、北海道砕石協同組合連合会(岡本繁美理事長)と北海道砂利工業組合(山田邦道理事長)は6月17日、北海道中小企業団体中央会へ軽油引取税の課税免除措置の恒久化を要望した。さらに21日は、日本砕石協会北海道地方本部(岡本繁美本部長)と日本砂利協会北海道支部(山田邦道支部長)が北海道経済産業局に対して要望書を手渡した。