静岡県は、防潮堤など津波対策施設の今後の整備の在り方で、民間を活用した施設整備について新たな事業手法を検討する方針。29日に開かれた県議会6月定例会で、野澤義雄氏(民主党・ふじのくに県議団)の質問に対し、川勝平太知事と森山誠二交通基盤部長が明らかにした。
野澤氏は、東海地震対策に関連して県沿岸の防潮堤の整備について質問。県の(現在の)第3次被害想定に基づく津波対策施設をすべて整備するためには、多額の費用と多くの時間を要すると指摘。「施設整備に民間資金の活用なども必要ではないか」と提案した。
これに対し川勝知事は、第3次想定に基づく施設整備を着実に進める必要があるものの、多額の予算措置が困難なことを認めた上で、「民間資金の活用は興味深い案だ」と答え、事業手法の一つとして検討する方向を示した。
また、森山部長は、民間の活用について「民間自らが提案して施設整備を行うケースと、県や市などが主体となり民間の資金を活用して(PFIなどの)事業を実施するケースが考えられる」と述べた。
例えば、第3次被害想定に基づく津波対策施設が整備されていない区域で、民間事業者が防潮堤などを自主的に整備することを提案した場合、県が事業費を補助するような形が考えられる。設置場所やほかの施設との連続性、構造、強度などを詳細に確認する必要があるが、「そうした申し出があれば積極的に対応する」(森山部長)とした。また、民間資金の活用については、厳しい財政状況の中でハード面の津波対策を着実に進めるため、今後の事業手法の一つとして検討していく方針。
(2011/7/1)
建通新聞社 静岡支社