建通新聞社(神奈川)
2011/06/28
【神奈川】県庁庁舎 坂倉建築研究所で耐震調査
神奈川県の黒岩祐治知事は、2010年3月に作った報告書「県庁庁舎のあり方」の中で、建て替えや大規模補強の方向が示されている分庁舎と新庁舎の整備について、「現在進めている耐震調査の結果を踏まえ、手法やスケジュールなどを具体的に検討する」との考えを示した。22日の県議会本会議で、嶋村ただし氏(自民党)の代表質問に答えた。耐震調査は現在、新庁舎を設計した坂倉建築研究所(東京都港区)が進めている。11年度末までに、建物の構造の劣化状況を調べることにしている。
東日本大震災で、新庁舎の一部が損傷。当日実施した目視による応急的な危険度判定の結果、建物を使用する上で、大きな支障がないことが分かった。だが、1996年と97年に新庁舎と分庁舎で実施した耐震診断では、震度6クラスの地震を想定した場合、継続使用に当たっては大規模補強が必要とされた。
2010年3月、県議会総務政策常任委員会に提出した「県庁庁舎のあり方(整備等の基本方向)」(案)には、1955年築で、県庁庁舎の中で本庁舎に次いで古い「分庁舎」を建て替え、次に「新庁舎」を免震工法も視野に大規模改修し、安全性を向上させるとの基本的な方向を示している。
今回、東日本大地震で新庁舎の外壁の一部が崩落損傷したことから、あらためて耐震調査に着手。主に建物を支える部材の状況について調査を進めている。
分庁舎の規模は、鉄筋コンクリート造地下1階地上6階建て延べ5388平方b。新庁舎は鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階地上13階建て延べ3万7035平方bで、66年に完成した。
1993年に完成した第二分庁舎は新耐震基準に基づいた建物。
国の登録有形文化財である本庁舎は1928年に完成。86年の耐震予備診断で安全性を確認した。報告書では、「永続的な使用が基本」とした上で、経年劣化に対しては「設備などの機能更新とともに、適切な維持保全を行う」と述べている。