東日本大震災における被災地の復旧活動を支援するため、(社)千葉県建設業協会青年部会の一行13人は、震災発生から99日目にあたる今月17日、(社)岩手県建設業協会青年部連絡協議会大船渡支部と宮城県建設業青年会を訪問。支援物資を届けるとともに、被災地の現状を肌で感じ、懇談の場では地元建設業の奮闘の数々を知った。
最初に訪れた(社)岩手県建設業協会青年部連絡協議会大船渡支部、長谷川支部長によると、18人いる大船渡支部の青年部会員のうち、今回の津波被害により、陸前高田市の役員だった一人の青年部会員が死亡。また、陸前高田市内の会員事業所では、代表者が亡くなられた会社が7−8社あり、事務所が津波で流されなかった会社は数えるほどで、未だ同市内には行方不明者が600人程度いるという。
現在の状況については、「瓦礫の撤去の段階で、復旧までにはまだ時間がかかる見通し。瓦礫の処分方法は、災害廃棄物のうち『食品関係』や『木片等』は最終処分の流れで、『アスがら』『コンがら』に関してはまだ決まっておらず、話にも上がっていない部分もある」と説明。支部会員のほぼ全社が瓦礫の撤去に追われる現状については、「今回被災したエリアでは、『早く復旧工事がしたい』という思いはどこでも同じだと思う」と代弁した。
さらに氏は「もともと絶対数が少ない大工などは、これからは一般住宅の改修工事などが増えることになる」との見通しを示す一方で、「(職人不足が)一時的なものなのか否かは、もう少し様子を見なければならない」と言葉を選んだ。
「市の総合計画がある程度決まってくれば、前に行くスピードも少しずつ速くなると思うが、まずは我々が出来ることをやらねばと強く感じている」とした氏は、一方で「働く場所がなくなってしまった陸前高田市で、このまま復興計画がスタートした時に、『果たして何人残っているか』である。人がいなければ本当の復興にはならない。その辺をどのように進めていくかが、岩手県沿岸エリア全域に共通する課題だと思う」との認識を示した。
他方、地元の子供たちから見た現在の陸前高田市について言及した氏は、「その雰囲気や重機で積み上げた瓦礫の形状などから、皆んな口ぐちに、宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』の映画に出てくる腐海最大の蟲の『王蟲(オーム)だ』と言う」ことも明かしてくれた。
後日、長谷川支部長に「今回の大震災で敢えて得たものは」と質問したところ、「自分たちの生まれ育ったまちは、自分たちで守るしかないという気持ちが強くなった。また、本当の意味で市民や役所に頼りにされ、本業を通じて我々の価値を高められる『建設業の真髄』(奥義)を究めた気がする」との答えが返ってきた。