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建設経済新聞社
2011/06/22

【京都】公共工事等からの暴力団排除 京都市は条例化を検討 精華、和束は条例案提出

 全国の都道府県で公共工事等から暴力団を排除する暴力団排除条例の施行が広がる中、京都府が4月に「京都府暴力団排除条例」を施行したのを受け、京都府下の自治体でも条例を新たに制定したり要綱を制定するなど暴排措置を講じる自治体が広がりつつある。
 京都府が23年4月1日に施行した「京都府暴力団排除条例」は、▽府が発注する公共工事における暴力団員等との請負契約の禁止(第13条第1項)▽府の請負契約に係る下請契約等における暴力団員等との契約の禁止(同第2項)▽発注者は一定額以上の契約において受注者から暴力団員ではないこと等の誓約書を徴しなければならない(同第5項)▽受注者は徴収した誓約書を5年間保管しなければならない(同第6項)−などの内容で、誓約書に暴力団員ではないこと等の虚偽記載をして提出した者には「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、誓約書を徴しなかった者・誓約書を5年間保管しなかった者は「5万円以下の過料」という罰則規定も定められた。
 門川大作京都市長は、5月定例市会で公共工事などの契約から暴力団排除のため、条例制定を検討することを明らかにした。
 京都市は23年4月に京都府警から2名の職員を受け入れ、文化市民局に「くらし安全推進課」を新設するなど体制を強化しているが、暴力団排除の対策について門川市長は昭和62年の契約事務暴力団等排除対策要綱や平成20年の市営住宅への暴力団排除の取り組みなどに触れた後、「京都府暴力団排除条例は京都市内にも適用されるが、京都市が行う公共事業をはじめとする契約や、公の施設の利用には適用されない。府警と連携し市民や事業者とともに暴力団排除のための条例が必要である。その制定に取り組む」と条例制定の方針を示した。

暴排措置の取り組み
北部自治体が先行

 公共工事等の契約から暴力団排除の措置を講じる取り組みは、府下では北部自治体が先行している。与謝野町は与謝野町暴力団排除条例を制定し、23年4月1日に施行。伊根町も伊根町暴力団排除条例を制定し、23年4月1日に施行した。
 過去に定めた要綱を廃止し、新たに要綱を制定し対応する自治体も多い。舞鶴市は「舞鶴市建設工事等に関する暴力団等排除措置要綱」を23年4月1日に施行。綾部市も「綾部市暴力団等排除措置要綱」を23年4月1日施行した。京丹後市も23年4月1日から「京丹後市暴力団等排除措置要綱」を施行。福知山市は「福知山市暴力団等排除措置要綱」を制定、23年2月1日施行した。宮津市は昭和63年に制定した「宮津市建設工事に関する暴力団等排除対策措置要綱」を運用しており、現行の要綱でほぼ対応できるが、すべての契約を対象とできるよう要綱改正の方向で今後検討を進める。
 精華町は、京都府暴力団排除条例をはじめ、伊根町、与謝野町の条例を参考に暴力団排除条例案を固め、6月議会に提出しており、議決後、公布日から6ヵ月以内に施行する予定。和束町も6月議会に暴力団排除条例を提出しており、議決後、8月1日施行を予定する。
 南山城村は、23年4月1日に公共工事から暴力団を排除するため、「南山城村暴力団等排除措置要綱」を制定、施行した。
 長岡京市は、昭和63年施行の公共工事に関する暴力団等排除対策措置要綱を廃止、暴力団等排除措置要綱を23年4月1日に施行した。大山崎町も公共工事に関する暴力団等排除対策措置要綱を全面改正、23年4月1日施行した。
 その他の自治体の取り組みはこれから本格化しそうだ。ただ条例制定の場合、その後、細かな変更であっても議会承認の手続きが必要となり煩雑となるため、現実的な判断として条例化でなく、要綱の制定(改正)を選択するところが多くなるとみられる。