建通新聞社(神奈川)
2011/06/21
【神奈川】県内広域デジタル無線整備 実施設計
横浜市消防局は、消防・救急デジタル無線のデジタル化に向け、神奈川県全域の共通システムを整備する。これに伴う実施設計を4688万円で建設技術研究所(横浜市中区)に委託した。設計期間は2012年3月まで。回線制御装置など本部システムを横浜市消防局内に整備するほか、無線基地局を県内各地に設置する。12年度に着工し、14年度に整備を完了する計画。工事は本部システムと無線基地局を一括して12年度に発注する方針だ。
国は大規模な災害に対応するため、全国共通の周波数(共通波)による防災・救急無線を整備し、広域的に消防隊を派遣できる体制の構築を計画。現在のアナログ波(周波数150メガヘルツ)の使用期限を18年5月末までとし、それまでにデジタル波(周波数260メガヘルツ)に更新するよう求めている。
これに対応するため、神奈川県内では全域の共通システムを整備し、共同事業とすることで、各自治体の費用負担を削減する。
本部機能は横浜市消防局(保土ケ谷区)に置き、情報量をコントロールする回線制御装置やルーターなどを設置する。
また、デジタル波はアナログ波に比べて通信エリアが狭いため、回線の中継局として県内23カ所に基地局を配置する予定。横浜市内では、現在、西谷送受信所(保土ケ谷区)の1カ所でカバーしている基地局を、西谷送受信所のほか、北部清掃工場(都筑区)と円海山(金沢区)に新設する。
各消防本部(自治体と広域連携で26本部、神奈川県で1本部)の指令系装置や通信回線は既存のものを利用する。メーンの回線は、神奈川県の防災行政通信網を利用する予定だ。
総事業費は約40億円の見込み。横浜市が発注し、市町村の負担金を事業費に充てる。
■活動波のシステムは13〜15年度に整備
横浜市ではこのほか、共通波を補完するデジタルの活動波による消防・救急デジタル無線を新設する。本部機能を整備し、市内5カ所の消防署に基地局を設置する予定。12年度に実施設計を委託し、13〜15年度の3カ年で整備する。