北海道建設新聞社
2011/06/16
【北海道】学校体育館で無暖房化を検証へ−札幌市が防災時対策
札幌市は、東日本大震災を踏まえた収容避難場所の防寒対策として、学校体育館の新築・改築に合わせた無暖房(パッシブ)化に取り組む。暖房設備の機能が停止した場合に備えて高断熱化を図るもので、2011年度に基本設計を進める学校体育館に採用。まずは断熱の仕様や施工性、経済性などを検証し、普及への足掛かりにする考えだ。
市は10年度、各区にある体育館を収容避難場所として利用することを念頭に断熱改修した際の効果などを検証。収容人員の発熱だけで室温を確保するのに必要な断熱の厚さなどを調べた。
それによると、高性能フェノールフォーム断熱材を使い、屋根・外壁・床を全て75_にすると室温は10度、120_で12度、230_で15度といった値を得た。
今回の学校体育館無暖房化は、この検証結果を活用して取り組むもの。高断熱化に当たっては窓を3重化し、サッシも木製など熱伝導率の低いものを導入。夏場のオーバーヒート対策としては外ブラインドを設けるなど有効な遮熱対策も講じる考えだ。
都市局では無暖房化について「省エネと防災対策で一石二鳥の効果が期待できる。断熱の仕様や施工性など費用対効果を見極めながら普及につなげたい」としている。
15日の第2回定例市議会で代表質問に立った細川正人氏(自民党・市民会議)は、東日本大震災では収容避難場所に防寒具などの救援物資が届かず、多くの人が寒さと空腹に耐えていたことを指摘し、寒さ対策に対する市の見解をただした。
上田文雄市長は「ライフラインが途絶し、収容避難場所の暖房機能が停止した場合の、緊急措置的な暖房方策も調査・検討する」とした上で、補助暖房の充実や学校体育館の高断熱化に触れた。