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建通新聞社(静岡)
2011/06/15

【静岡】静岡県 沼津駅付近鉄道交差化 有識者会議が最終報告まとめ 現計画が妥当 

 「沼津駅周辺鉄道高架事業」の在り方について検証してきた静岡県の有識者会議(座長・森地茂政策研究大学院大学教授)が10日、県庁内で第6回会議を開き、「交通環境の改善や拠点都市形成のために効果的な事業」「沼津貨物駅の移転計画は妥当」「市民意見を反映させる手法(パブリックインボルブメント=PI方式)を導入し、関係者間の合意を形成しながら県と市が一体となってまちづくりを進めるべき」とする最終報告をまとめた。6月中にも川勝平太知事に提出する。県は今後、市民意見の反映手続きを実施し、事業内容をあらためてまとめていく方針だ。
 最終報告では、鉄道高架事業が「沼津市都心部が抱える交通環境や南北市街地分断の問題を抜本的に解消し、県東部地域の拠点都市を形成するために効果的」「費用便益も社会経済的に合理的」として妥当であると判断。
 沼津貨物駅の移転について「鉄道高架事業の前提であり、現計画は妥当」とする一方、「近傍駅への統合や現計画の規模縮小の論議を否定しない」として幅広い議論に含みを持たせた。その上で、今後の事業の進め方について「PI方式を導入し、専門家の協力を得て関係者間の合意を形成し、県と市が一体となってまちづくりを進めるべき」との方向を示した。
 沼津市の中心市街地の課題解消と発展を目的とした沼津駅周辺鉄道高架事業は、1994年に国庫補助事業として採択されたものの、2000年に国の公共事業見直しでいったん中止。その後、高架の延長を短縮した新たな計画を03年に都市計画決定。沼津市による新車両基地と新貨物駅の用地取得が事業認可され、06年に県による都市高速鉄道事業が認可された。
 沼津駅の前後の延長約3・7`を高架化する鉄道高架事業では、駅の東側に位置する三ツ目ガード(国道414号)と西側のあまねガード(沼津南一色線)を高架化し、13カ所の踏切を除却。沼津駅を南北から挟み込む形の現在の貨物駅は、現貨物ホームに東海道線を移設するなど貨物駅の土地を利用して順次高架化していくため、沼津駅の西側の原西部地区に移転する。これに合わせ、駅周辺に創出される土地を活用した新たなまちづくりを進める計画。
 県と市では、この計画に基づき、地元関係者への説明を行ってきたが、貨物駅移転先の地域を中心に反対意見があり、着手から9年が経過したものの事業は進んでいない。
 有識者会議では、PI手法を取り入れた関係者間の徹底的な合意形成を求める一方、「事業着手から9年目となることを認識すべき。際限のない議論でなく、県東部地域にとってどのような選択がふさわしいのか判断すべき」と県に注文を付けた。 


(2011/6/15)

建通新聞社 静岡支社