建通新聞社(中部)
2011/06/14
【愛知】「県立学校耐震化工事」を、倍近いペースで前倒し発注
愛知県は、リーマン・ショックの影響などにより県財政が悪化したことで遅れていた「県立学校耐震化工事」を、これまでの2倍近いペースで前倒し発注することにより2015年度までに完了させる方向で進めていくものとみられる。
県では、県立の高等学校や特別支援校合計176校のうち146校の校舎や屋内運動場などBランク判定された建物509棟について「愛知県建築物耐震改修促進計画−あいち建築耐震プラン2015−」に基づき耐震化工事を進めていた。07年度から10年度までの4カ年では、このうち140棟の改修にとどまっており、369棟が未着工となっていた。
2011年度は、当初から予定していた県立高等学校の大規模改造による耐震改修工事28棟(繰り越し分6棟含む)と単独補強による耐震改修工事6棟、改築・取り壊しによる耐震改修4棟に加え、特別支援学校の大規模改造による耐震改修工事1棟、改築による耐震改修2棟の合計41棟に加え、24日開会の6月定例県議会に上程される補正予算(案)には12年度に工事を予定していた18棟程度の工事費を増額する模様だ。
また、12年度以降については、これまでの遅れを取り戻すべく年間約90棟のペースで耐震化を進めていくものとみられる。これに際しては、先行設計のストックなどを確保する必要もあり、事務量が一気に増大することも見込まれるため、一部の業務を愛知県住宅供給公社に委託することも視野に入れて検討している。
県が06年度に策定した「愛知県建築物耐震改修促進計画−あいち建築耐震プラン2015−」は、1981年以前に建築された県の所有する建築物(旧耐震基準建築物)で、一般県有施設(非木造の床面積200平方b以上の多数の者が利用する建物)と病院事業庁施設(すべての病院施設)、県営住宅(すべての県営住宅)、県立学校(高校と特別支援学校の200平方b以上の建物・校舎、体育館、武道場など)、企業庁施設(水道施設管理本館)を対象とした耐震化の現状は全体で約72%となっている。
このうち企業庁庁舎の100%や県営住宅の99%をはじめとして、庁舎や特別支援学校、病院・保健所は75%を超える一方で、高校は46%、県民利用施設は61%などとなっており、他施設に比べ耐震化が遅れている。