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建通新聞社(中部)
2011/06/07

【岐阜】県震災対策検証委員会 耐震改修促進策を強化

 岐阜県震災対策検証委員会の分科会で建築物の耐震化に関する事項を点検・検証する耐震化分科会(座長―森保宏名古屋大学大学院教授)は3日、県庁内で初会合を開いた=写真。県の防災体制と建築物の耐震化促進の取り組みについて議論し、各委員から県の耐震化の課題について、提案・提言などが出された。
 会合では@防災拠点施設の機能確保のための見直しA建築物の耐震化のための耐震改修促進策の強化B造成地の地滑りや液状化などの宅地被害への対応C県民の「命」を守るための多様な取り組みの推進―の4つをテーマに、東日本大震災の現状と明らかになった諸課題から、岐阜県として教訓とすべき事項とその対策の現状を抽出。委員から提案・提言を求めた。
 @については、県における対策の現状として県有施設の耐震化(2015年完了予定、残り50棟)と、耐震改修促進法で緊急輸送路沿道建築物として指定される特定建築物の耐震化の現状を挙げ、県有施設については地域の実情に応じるなどして優先順位を高めて取り組むことが求められたほか、特定建築物については、耐震化の補助制度を設けた06年度以降実績がない現状から、補助制度の周知や計画的なビルオーナーへの働き掛けが必要などとした。
 Aでは、県・市町村・建築関係団体と連携した住宅密集地などを対象とするローラー作戦(10年度42市町村で4732件訪問)や広報活動、出前講座のほか、木造住宅の無料耐震診断(02年から累計6984件)と耐震補強工事の補助制度(04年から累計584件)、民間特定建築物の耐震化(06年から補助制度、実績1件)の現状などを挙げた。委員からは県民の関心が高まっていることから、役割分担を考え、効率的で安全に寄与する広報を地域に応じて柔軟に行うことが求められた。
 Bでは、宅地被害防止に向けた取り組みとしての液状化危険度予測の公表(03年7月公表)を行っているが、よく周知されていないことから、今すぐ周知すべきとした。このほかCでは、耐震化率とは別に命を守ることを主目的とする簡易補強の取り組みについて挙げたが、委員からは木造住宅については2階の軽量化、団地については老朽化団地の再編などを検討するなど、さまざまなオプションを設ける必要がある―といった提案が出された。これら提言は13日に開催の第2回会合でとりまとめられる。