建通新聞社
2011/06/02
【大阪】大阪市 近代美術館整備「整備費の縮減を」、行政評価委が最終とりまとめ
大阪市行政評価委員会の大規模事業評価部会(部会長・松澤俊雄大阪市立大学大学院経済学研究科教授)は、大阪市北区中之島4丁目に計画する近代美術館整備事業の妥当性について最終とりまとめを行い、松澤部会長が北山啓三副市長に5月31日に意見書を手渡した。大阪市は今後、意見の内容を踏まえて対応方針を固め、2011年度中に建設基本計画を策定する。
近代美術館の整備計画案によると、施設の延べ床面積は1万6,000u、敷地面積は1万0,600u。総事業費は238億9,200万円で、このうち整備関係に122億円、用地関係に116億9,200万円を充てる。整備関係費の内訳は工事費101億円、設計費(基本・実施)5億円、デッキ整備費11億円、備品など購入費5億円。
延べ床面積1万6,000uの内訳は展示エリア4,800u(常設3,100u、企画1,700u)、コミュニケーション2,600u、保存2,000u、調査研究100u、事務管理3,800u、共用部分2,700u。順調なら12年度に基本設計、13年度に実施設計を行い、14年度の着工、16年度の完成を目指す。開館は17年度。
最終とりまとめでは、「近代美術館は自治体必置の施設ではないため、整備の必要性は行政の判断によるもの」としたが、「市内には国立国際博物館もある上に、昨年度末からはサントリーミュージアムも市の所有となっている状況の中、美術館のスペックを考えることは不可欠で、経費の削減は極めて重要」と指摘。
サントリーミュージアムなどの既存施設の有効活用の再検証を行い、一層の規模の最適化を図るとともに、整備費については施設規模の再検証や整備手法の検討を通じて、縮減に取り組むよう求めた。
これに対し北山副市長は「国から買収した用地も、所蔵するコレクションもそのままの状態になっている。大阪の発展を考えると必要な施設であるため、最終とりまとめで示された指摘を踏まえ対応方針を決定したい」と話した。