京都市はこのほど、左京区の京都会館の再整備基本計画案を発表。その中で「第1ホールを全て建替え、その他は全面改修する」案など再整備の方向性を示した。
再整備に関する考え方をまとめた京都会館再整備基本計画案では、「公共ホールとして建物を再生」「文化の殿堂として機能向上」「岡崎地域の活性化や魅力創出を牽引する機能導入」「民活の導入と適切なマネジメント」「公共建築としての安全性向上」「劣化・老朽化への対応」「施設や外部空間の魅力向上」などの方針を示した。
第1ホール改築案
改築費47・4億円 具体的には改修案としてA案とB案を提示。A案は第1ホールの建築・設備の劣化箇所の改修(10億4000万円)、公共建築としての安全性向上と環境配慮への対策(耐震改修2億8000万円、バリアフリーエレベーターの設置7000万円、防火区画・排煙設備の設置・内装の不燃化等4億3000万円/計7億8000万円)、利便性向上に向けたホール機能の改善(設備改修[設備や空調系統、自動制御の改善]3億1000万円、トイレ増設1億2000万円、舞台設備の更新・舞台電源設備の改修16億4000万円、舞台の拡充及び楽屋・搬入口等バックスペースの改修及びスポット室の改善6億5000万円、フライタワーの設置7億5000万円/計34億7000万円)に加え、B案との共通事項である第2ホールの改修(建築・設備の劣化箇所の改修、耐震改修、バリアフリーエレベーターの設置、トイレ増設、舞台設備の更新、フライタワーの設置等22億2000万円)、会議棟の改修(建築・設備の劣化箇所の改修、耐震改修、バリアフリーエレベーターの設置、会議棟の活用整備等12億7000万円)、全体の改修(バリアフリーエレベーターの設置、太陽電池パネルの設置、設備改修、中庭やテラス等の外部空間の活用整備等4億2000万円)の39億1000万円を加え概算工事費を92億円と算出。一方のB案は第1ホールを改築(改築費47億4000万円、建物解体費2億5000万円/計49億9000万円)し、A案との共通事項の費用39億1000万円を加え概算工事費を89億円と算出した。
ホール機能の充実、ランニングコストなどの面でB案が優位とし、コスト面でも大差ないと判断。B案を今後の整備方針として定め、設計業務に引き継ぐとした。市は23年度当初予算に京都会館再整備事業の費用として7360万円を確保。基本設計はプロポーザル方式の採用が予想される。
当初はPFI等の事業手法も検討していたが、迅速な事業化が求められること、閉館期間が最も短いことなどを考慮し、設計・施工を一括で発注するデザイン・ビルド方式が最適とした。
23年度に基本設計に着手。24年度以降、第1ホール解体、埋蔵文化財調査、実施設計および工事着手となるスケジュールを予定。そのため24年4月1日以降の利用予約を中止する。
京都会館(京都市左京区岡崎最勝寺町13)は昭和35年竣工で、規模はRC造一部S造地下1階地上4階建(塔屋1階)、延1万4547・41u(建築面積7914・10u)。第1ホールは客席数2005席+車椅子スペース10台。第2ホールは客席数934席+車椅子スペース5台。会議場は384uの会議場(150人〜400人)及び会議室5室(43〜128u、10人〜40人)。設計は前川國男建築設計事務所。最高高さは27・5m。
敷地面積は1万3167・50u。用途地域は第2種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)、高度地区は15m第2種高度地区(最高高さ15m)、近景デザイン保全区域(疏水沿い)・遠景デザイン保全区域(慈照寺他)。