北海道建設新聞社
2011/05/17
【北海道】土壌改良材などに活用−石こうボードの再生利用調査結果
日本建設業連合会の旧建築業協会環境委員会副産物部会は、解体工事で発生する廃石こうボードに焦点を当てた、廃石こうボード類再生利用調査をまとめた。製造時の端材だけでなく解体現場からの廃材にも留意。廃石こうボードの多くは、中間処理施設に搬出されているが、同施設では廃石こうボード、石こう粉を2次処理先として汚泥処理業やガラ破砕業に委託して売却している。リサイクルについては、土壌改良材や路盤材など、主に土木系資材として活用している状況も確認できた。
同部会に加盟していた、ゼネコンから搬入実績がある全国の中間処理業252施設、石こうボードメーカー工場など26施設の計278施設で調査。このうち、対象となる廃石こうボード類の受け入れ施設は全国184施設で、北海道は10施設を数えた。
受け入れ施設での廃石こうボード類の処理法は、破砕が最も多く63%で、次いで異物除去49%、選別42%、紙と石こうに分離41%と続く。高度処理の焼成は5%の10件にとどまり、うち北海道では1件だった。
また、多くの中間処理施設で、選別できない廃石こうボードをそのまま処理委託している実態が明らかになった。
紙と石こう粉を分離している施設でも分離が不可能な受け入れ品があり、ボード形状のまま処理委託している。委託先は中間処理施設、最終処分業者、メーカー系工場の順。
紙と石こうを分離している場合は、石こう粉を売却し、紙を処理委託していることが多いが、石こう粉の用途は、土木系資材としての活用がリサイクルを支えていると分析。土壌改良材と地盤改良材が多く、石こうボード原料や路盤材と続く。
このほか、件数は少ないもののグラウンドラインや肥料のメーカーが、原料として使っている例もあった。
一方、受け入れを拒否する品質要件として挙げられたのが、アスベストやヒ素、カドミウムなどの有害物質で、67%の受け入れ施設が確認を要求している。これら以外では複合板、金属、木片などの異物付着物、水濡れが、処理に手間が掛かるため拒否されるようだ。
また、搬入施設ごとに受け入れ元を見ると、中間施設への排出事業者は、現場の建設会社からの搬出が119件で、全体(160件)の74%を占める。次いで建設会社と、その他中間処理業で各34件、21%だった。
施設別受け入れ量は、2007―09年度の3カ年で、中間処理施設は増加傾向にある。新築・解体別で見ると、メーカー系工場は、ほとんどが新築時の廃材だが、中間処理施設は新築・解体、不明が最も多いものの、次いで多いのが解体系で、新築を上回っている。
特に中間処理施設の09年度量は、全体が27万dで、不明を除くと解体時が7万5400dと3割に迫る。
北海道を見ると、中間処理施設は合計5300d。このうち不明が2000dで最も多いが、解体系も1900dとトップに近い受け入れ量だった。
廃石こうボードの取引形態と単価を見ると、重量当たり単価(円/d)と容積単位単価(円/m³)の回答が半々。北海道や近畿、中国、四国地方は全て重量当たり単価で、関東や東海地方では容積単位が多かった。
取引単価は、首都圏の受け入れ施設間ではばらつきが小さいが、地方部の受け入れ施設間は大きく、地域性が見られる。また、解体廃材の取引単価は、受け入れ施設間で差があり、引き取る際の状態に違いがあると推察する。新築端材と比べると高めの傾向を示した。
全体的に取引単価を見ると、重量単位での取引は、単価にばらつきが見られる。水にぬれた廃石こうボードの単価は、異物が付着した単価に比べて総体的に高めで、処理が難しい実態が浮き彫りになっている。