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建通新聞社(中部)
2011/04/27

【愛知】名古屋港のしゅんせつ土砂処分場、候補地は「中部国際空港沖」に

 国土交通省中部地方整備局名古屋港湾事務所は、名古屋港で発生するしゅんせつ土砂の新たな処分場の候補地を、「中部国際空港沖」に絞り込んだ。4つの候補地を総合的に評価した結果、「中部国際空港沖」は土砂処分コストが最も安く、現在の技術で施工することができ、構造や形状を工夫することにより環境への影響を少なくできる可能性があるとしている。同事務所では、5月24日まで、候補地に「中部国際空港沖」を選定することについて広く意見を募集する。
 候補地として絞り込まれた「中部国際空港沖」は、土砂の運搬距離が片道約10`。想定する護岸整備は延長6300b、想定地盤改良延長が1600b。護岸築造コストを縮減するために既存護岸の利用を想定していて、既存の波消しブロックなどを再利用することにより土砂処分コストをさらに削減できる可能性があるという。水深条件は、水深18bから水深3bで平均水深13b。地盤条件は、表層が礫(れき)、シルトが混入する砂、粗砂だが、下層は固結シルト層となっている。南側の一部で粘土質の軟弱な層が存在する。
 具体的な土砂処分は、陸地に対して緩傾斜護岸をコの字型に設け、囲い込んだ部分に揚土船で土砂を投入することを想定している。既存の施工技術や作業船で施工が可能で、形状については「海水の流れへの配慮」を行ったり、護岸により「海域生物への配慮」を行うことが可能という。技術上の課題は無いものの、空港直近で施工するため施工上の制約を受ける可能性がある。計画の具体化に当たっては、選定した候補で環境への影響などについて調査を行い、環境影響の軽減方策をあわせて検討するとしている。
 名古屋港は、河川が流れ込む遠浅の海に面して造られた港のため、船が安全に出入りできるように航路や泊地の海底を掘ったり、堆積した土砂を取り除く浚渫が欠かせない。浚渫土砂は埋立地の造成にも使用されたが、現在はポートアイランドが唯一のしゅんせつ土砂の処分場となっている。しかし、このポートアイランドは仮築堤を施すことによって埋め立て計画地盤高を約10b上回る高さまでかさ上げし仮置きている状態。すでに収容能力の限界に近付いており、新たな土砂処分場を早急に確保する必要がある。このため、▽中部国際空港沖▽四日市港内▽伊勢湾中央部深場▽海洋投棄(伊勢湾外)―の4つの候補地を設定し、@社会的な視点A経済的な視点B環境的な視点C技術的な視点―から最も適当な候補地として「中部国際空港沖」を選定した。
 候補地を「中部国際空港沖」に選定することについての意見は、所定の意見募集箱(回答用紙による)または名古屋港湾事務所ホームページで5月24日まで受け付ける。名古屋港湾事務所や名古屋港管理組合資料室などの「意見募集場所」では、候補地選定についての情報提供資料が閲覧できる。