北海道建設新聞社
2011/04/27
【北海道】札幌建協がサーモンビレッジ構想まとめる−市に提案へ
公共事業の創出を検討してきた札幌建設業協会(坂敏弘会長代行)は、「豊平川サーモンビレッジ構想」をまとめた。市民と深く関わるサケ≠ニ豊平川≠テーマに道立真駒内公園内の豊平川さけ科学館をリニューアルするとともに、周辺にレジャーやスポーツ、学習機能などがある施設を配置し、四季を通じて憩うことができる観光拠点に再生させようとしている。5月連休明けにも上田文雄市長に事業化を提言する。
1984年に開館したさけ科学館を中核施設とし、豊平川と真駒内川の合流点に近い水辺の空間という立地条件を生かし、「豊平川サーモンビレッジ」としての再整備を提案する。同建協の事業策定構想委員会(平野良弘委員長)が2010年度の1年をかけて企画、立案した。
さけ科学館はサケの稚魚体験放流や水中の魚観察などができるが、近年の入場者は伸び悩む傾向にある。過去に水質が悪化した豊平川を回復させ、再びサケを戻す運動を象徴する施設として知られている。
豊平川は洪水との闘いを繰り返し、そのたびに整備を進めてきた。サケの遡上(そじょう)数は稚魚放流数の約20万匹に対し、0.5%から1%と少ないが、自然回帰による自然産卵への期待は膨らんでいる。
構想では、さけ科学館を改修すると同時に、周辺に「情報発信機能」「教育・学習機能」「親水・レジャー機能」「地域との連携機能」「防災拠点機能」「休憩機能」を配置。
サケの生態や豊平川の歴史を学びながら、サケの遡上がモニターで見られたり、イベントやサイクリングなどのスポーツ、レストハウスでの食事や地域特産物の買い物などを楽しみ、道路情報や宿泊案内も提供する、新たな観光スポットに生まれ変わらせる。
事業化に当たっては、さけ科学館を含む「サーモンビレッジ」を市が運営する手法のほか、市が民間企業と連携する第三セクター方式や、PFI、PPP事業の採用も提案。上田市長への提言後は、市民との合意形成を図るためのシンポジウム開催なども想定している。
この構想は、道が10年度に創設した補助金制度の地域建設業経営改革緊急対策事業を利用し策定した。事業策定構想委員会は土木、建築委員会の委員と、外部から専門委員として招いた北大大学院の岸邦宏准教授の9人で構成している。
同建協は「公共事業の激減から経営危機対策の一環として取り組んでいる。業界には長年の技術と経験、情報やデータがあり、これらを生かす方策を模索してきた」と背景を説明している。11年度は第2弾として別事業の構想策定に着手する方針だ。