建通新聞社(東京)
2011/04/25
【東京】作業主任者など資格者再教育を 関東地整
国土交通省関東地方整備局は、直轄土木工事の事故防止に向けた新たな取り組みとして、受注者に対し、現場に配置する作業主任者など資格者の「再教育」を求める。対象は▽足場の組立て等作業主任者などの「能力向上教育」▽車両系建設機械運転業務従事者、移動式クレーン運転士、玉掛業務従事者などの「危険有害業務従事者教育」▽ドラグ・ショベル運転業務従事者などの「危険再認識教育」―で、すべての工事の特記仕様書に明示して再教育の受講を促す。今月から発注手続きに入る案件で適用を始めた。
関東地整はこれまで、局として毎年度める「重点的安全対策」の留意事項を特記仕様書に盛り込み、工事事故の防止に取り組むよう受注者に義務付けている。11年度は「架空線等の損傷事故防止」と「足場・法面等からの墜落事故防止」の二つを重点的安全対策の項目に挙げている。
一方、作業主任者など資格者の再教育は、本省が毎年定める工事事故防止の重点対策の一つ。そこでは関係業団体が、資格取得後一定期間を経過した者に▽能力向上教育▽危険有害業務従事者教育▽危険再認識教育―の受講を働き掛けることとなっている。
関東地整は、10年12月に開いた建設産業専門団体関東地区連合会との意見交換会で、直轄工事の安全確保のために「安全講習済みの運転士」や「技能講習修了者」「特別教育修了者」など現場で優先的に使うよう、団体側から要望を受けていた。
また、関東地整の10年度の工事事故発生件数(3月31日現在速報値)は80件と、前年度に比べ16件減ったものの、墜落で3人が亡くなり、架空線の損傷などの事故も多発している。
これらの状況を踏まえ関東地整は、局の重点的安全対策とともに、作業主任者など資格者の再教育についても特記仕様書で明示。受注者に対応を求めることにした。
ただ、再教育は法律に規定されたものではないことから「(受注者は)再教育の受講が推進されるよう努める」との記述にとどめ、努力義務を課す形にしている。