建通新聞社(神奈川)
2011/04/22
【神奈川】カラーバリアフリー化促進 モデル地域で検証
神奈川県は、まちづくりを進める中で、色を識別することが困難な人にも配慮した、誰でも見やすい案内板や標識を設置しようという取り組みを始める。「カラーバリアフリーで創る街づくり」として、2011年度に新たに事業に着手する。6月ごろまでにモデル地域を1カ所程度選定。地域の街づくりの関係者らで構成する検討会を設置し、具体的なサインの表示方法などについて意見を交わす。検討の成果を基に、2012年度、実際にモデル地域でカラーバリアフリー化したサインを設置する。県の担当者は、「事業を契機に、カラーバリアフリーについて広く認識してもらい、今後の街づくりに生かしていきたい」と話している。
カラーバリアフリー化は、誰でも識別できるよう、公共施設の案内板や標識の色に配慮して設置する取り組み。例えば、同じ緑と赤の組み合せでも、表示の仕方によって見づらくなるケースがあるという。
2010年度の「県民からの政策提案」で採択され、11年度当初予算に新規で事業費を計上。11〜12年度の2カ年で事業を進める。現在、市町村を通じてモデル地域の選定作業を進めている。その中で、色覚に障害がある人や地域住民などで構成する検討会を組織し、地域内に設置されている案内板や標識などを検証。カラーバリアフリー化の具体方策を提案し、12年度のサインづくり・設置に生かす。
県は2005年4月、カラーバリアフリーをテーマに、案内板の色使いで配慮すべき事項を解説した「色使いのガイドライン」を作った。この中で、案内板の表示は、大きく分かりやすい平易な文字や図などを使い、色は地色と対比効果があって明暗のコントラストをはっきりさせるよう明記。また、案内図は「現在地」が目立つよう、背景の色を工夫したり白色で囲ったりすべきだとしている。また、神奈川県福祉の街づくり条例の整備基準は、視覚障害者誘導用ブロックの色は原則として見やすい黄色を使用することと定めている。
県外では、東京都港区が「港区カラーバリアフリー・ガイドライン」を策定済み。区が作成して配布する印刷物や、新築・改修する公共施設の案内板などの色使いについて、配慮すべき内容を例示している。