静岡県は、建築基準法の規則改正を踏まえ、一定規模の県有施設の外壁タイルなどの全面打診調査を開始する。初年度となる2011年度は、県営住宅66棟を含む県有施設274棟を対象に、ハンマーなどの直接打診による調査を実施する。調査業務については、施設を所管する部局ごとに一定の建物をまとめて委託する方針で、発注方法や時期など詳細を今後詰める。
外壁の落下事故などが全国で相次いだことを受け、建築物の事故や災害の未然防止を目的に08年4月、建築基準法の施行規則(建物の定期調査の内容)が改正。タイルや石張り、モルタル仕上げの壁面の劣化・損傷について、これまで「手の届く範囲を打診、それ以外を目視で調査し、異常があれば精密検査をする」としていた内容が、「手の届く範囲を打診、それ以外を目視で確認し、異常が認められた場合は全面的に打診などにより確認する」「建物の完成、外壁改修または全面調査後10年を超える場合、全面的に打診などにより調査する」と変更された。
これを踏まえ県は、延べ床面積が100平方bを超える特殊建築物(高校や職員住宅、倉庫など)と、5階建て以上で延べ床面積1000平方bを超える事務所のうち、外壁がタイル張りやモルタル仕上げの県有施設を対象に、11年度からの3年間で集中して打診調査を実施することを決めた。
対象となる県有施設約900棟のうち、初年度は県営住宅66棟と県有施設208棟の計274棟で実施。それぞれの施設管理者が調査業務を委託する。調査の方法として、仮設足場の設置やゴンドラによる作業、赤外線カメラの活用などがあるため、施設の立地状況や規模などを踏まえ、最適な方法を固める。合わせて発注の方式や時期などを詰めていく方針。
調査の結果、早急な対応が必要と判断された建は、所管部局ごとに対応する。
11年度予算では県営住宅の打診調査費に9907万円、そのほかの県有施設に2億円を計上した。
建通新聞社 静岡支社