北海道建設新聞社
2011/04/06
【北海道】自治体ホームページで防災情報発信を−道総合通信局が提言
北海道総合通信局は「自治体ホームページを活用した防災情報等の発信に関する調査検討会」の報告をまとめた。『防災情報等の発信にかかる自治体ホームページの利活用モデル』として、システムや情報収集、組織体制など6項目のアプローチを提言。ウェブサーバーの共同利用、クラウドサービスを使ったリスク分散、文章や画像を簡単に追加・削除できるCMS(コンテンツマネジメントシステム)の導入などを有効とした。
小樽商大商学部の深田秀実准教授を座長とした同検討会では、道内の全ての自治体が開示しているホームページ(HP)について、情報の提供エリア性や量では優位だが、緊急情報などの即時性は防災無線などが優位と分析。双方の特長を生かし、補完し合うことで一層有効な住民向け情報提供システムが構築できるとした。
道内自治体を対象にした調査では、HP運用コストが限定的で、緊急時の有効性が正しく理解されていなかったほか、サーバー自体の防災対策も十分とは言い難いことが判明。ただし、防災情報は住民の安心・安全の観点から発信が必要と考え、運用性向上にはCMSの要求が高かった。
そこで同検討会は、災害情報から生活情報までの多様な内容が、HPに追加するだけで共有できるほか、他機関HPとリンクさせることで、より広範囲に発信できると強調。そのための北海道モデルが必要と説く。
『防災情報等の発信にかかる自治体ホームページの利活用モデル』は情報収集、システム、組織体制、HPを構築する際に考慮すべき工夫、職員の意識、他のメディアとの連携―の6アプローチを提示。推進施策としては、CMSやウェブサーバーの共同利用を挙げ、情報をインターネット上に保存するクラウドサービスも有効とした。
災害発生時に1次情報の発信先としてメディアも連携活用していると説明。防災・地域情報を集配信する情報基盤としての役目を掲げた。さらに総務省が推進する、行政の災害情報を円滑伝達する安心・安全公共コモンズ思想のシステム化も盛り込んだ。同コモンズは、行政やライフライン事業者などから防災、地域情報を収集してテレビ、ラジオ、パソコン、携帯電話などに配信する情報基盤づくり。災害時には、自治体も国や北海道などのHP情報を有効活用するシステムづくりを促した。
システム面ではアクセス集中時の対応に配慮。ウェブサーバーがダウンしてもキャッシュサーバーで稼働できるよう複合的な措置を求めた。CMSの導入など情報発信環境の整備や、RSS(ウェブサイトの更新情報を簡単にまとめ、配信するためのいくつかの文書フォーマットの総称)を導入した情報配信なども留意。発信すべき情報の種類を洗い出して、基準や手順を整備していくようにアドバイスした。
組織体制に関しては、災害対策本部が設置される場合、常駐の広報担当を置く。庁内では、情報不足による住民不安が広がらないよう、HP担当部局が情報を得やすい環境を整備。情報発信に向けた職員の意識向上にはOSS(オープンソースソフトウェア)の活用、CMSを用いたマニュアル策定などを説いた。
このほか、HPの即時性を高めるためにツイッターとユーストリームの効果を比較。どちらもリアルタイムでの情報・映像発信を利点とし、多くの人への情報発信、他ツールとの連動が見込まれる。
ただし、ツイッターはアクセス集中時のシステムオーバーやなりすましを危惧。ユーストリームは発信者の映像レベルや肖像権、個人情報などをデメリットとした。
道総合通信局では、自治体が円滑に情報発信するため、リスクを分散したシステム構成や情報サービス、HPのレイアウトなどを注意。報告書を道内全ての自治体に送付し、日常的な準備体制を求めている。