福島建設工業新聞社
2011/04/05
【福島】土木、農林施設被害5553億円/査定まず中通り、会津
東日本大震災により被災した県土木部所管の公共土木施設、農林水産部関連公共施設等の被害状況(第1報)がまとまった。いずれも5月からの災害査定実施に向けて、国と協議を進める。浜通りでは原発事故が収束しないと現場の確認もできず、復旧の手法も、原形復旧を基本にした単災では対応し切れないことが明らかであることから、災害査定、復旧工事の発注とも中通りと会津地域からの実施となりそうだ。6月にも発注手続きが本格化しそうだ。
両部関係施設の被害状況は∧上段別表∨。土木部は県と市町村管理施設合わせて4821カ所、被害額3130億円。農林水産部は2423億円余りとなっている。浜通りの被害分が土木部関連の市町村管理施設で95・9%、農林水産部関連で85%を占めるという。
福島第一原子力発電所から30km圏内は、航空写真等により推定した概算被害額を計上しているが、公共土木施設の市町村所管分には南相馬市の一部と双葉郡8町村分が入っていないなど、被害はこれにとどまらない見通しだ。
林地施設は、被害計上額の多くが保安林の流出で、早急に復旧を要するのはうち21カ所、20億円程度だという。
公共土木施設と農地、農業用施設等の農地等被害については5月中旬、治山被害は同上旬の災害査定入りを念頭に、財務省、各所管省庁との協議を進める。査定入りまでの今後1カ月でさらに精査をする。
災害復旧事業については通常、査定が災害発生年内、復旧工事は災害発生年以後3年以内に完了させるのがルール。復旧工事は、年内に80%程度の予算付けが通例だが、被害が過去に例のないほど甚大なものとなっており、復旧事業に割くマンパワーの配分を含め消化能力にも限界があるため県は、事業施行期間についても弾力的な対応を国に求める。
浜通りは、原形復旧にとどまらない抜本的な対策が必要で、原発事故の収束を待っての事業着手になるため、対応がさらに長期化しそうだ。