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福島建設工業新聞社
2011/04/05

【福島】東日本大震災/「一定災」の採択検討

 東日本大震災で、公共土木施設に甚大な被害を受けた本県沿岸部。相双地域の海岸と河川河口部は、通常の原形復旧にとどまらない抜本的な対策が必要となっており、災害関連事業や助成事業など、改良を入れた対応についての検討が必要になる。激甚災害対策特別緊急事業(激特事業)や、本県では適用のなかった「一定災」の採択も視野に入っている。
 県土木部所管の公共土木施設等の被害は、被害額集計3130億円(第1報)のうち、県管理施設では金額ベースで被害の95・9%が浜通りに集中。沿岸部は大津波により壊滅的な被害を受けており、原形復旧は現実的ではないという見方が大勢だ。
 災害復旧工事だけでは対処ができない場合、被災個所の復旧と改良事業を一体化させて対策を施す「災害関連事業」「災害復旧助成事業」などの手法があり、さらに大きな災害発生時には「激甚災害対策特別緊急事業(激特事業)」による抜本的な再度災害防止対策が採られることがある。
 激特事業は、洪水や高潮などにより激甚な災害が発生した地域で、事業を重点、緊急的に実施するもので、県事業としては昭和61年8・5水害時の安達太良川、谷田川、逢瀬川、平成10年豪雨時の堀川、谷津田川、黒川などの実施例がある。
 今回の沿岸部での被害対策でも、関連事業や助成事業、激特事業等の事業手法のほかに、「一定災」の採択まで視野に置いている。
 一定災は、公共土木施設が広範囲にわたって激甚な被害を受けた場合、一定の計画に基づいて復旧を行う事業で、本県施行事業では前例がないという。
 今回の震災で東北の太平洋沿岸部は、津波により一帯が大きな被害を受けており、復旧方針の決定には国主体の取り組みが求められている。本県ではさらに原発事故の影響もあって、計画の検討に当たっては、国の方針決定と原発事故の収束が前提になりそうだ。