建通新聞社(神奈川)
2011/03/29
【神奈川】川崎市入札制度改正、事前公表取りやめ
川崎市は、工事契約の入札制度を改正し、4月1日以降に公告や指名通知を行う案件の予定価格の事前公表を取りやめる。また、低入札価格調査の強化や法令順守の強化、総合評価方式の評価項目の拡充などを新たに実施する。市の「入札契約制度検討会」と学識経験者で構成する「川崎市入札監視委員会」がまとめた。
予定価格の事前公表を原則とする市では09年4月〜11年2月の約2年間、業種別・ランク別の入札で半分ずつ事後公表を試行し、事前公表の弊害と言われる事柄について検証した。また、建設業者15団体と入札参加業者388社にアンケート調査を行い、10団体と143社から回答を得た。
その結果、事前公表案件で、同額の応札によるくじ引きでの落札者決定が多く発生し、適正な競争が行われにくくなっていることが分かった。また、建設業者の見積もり努力を損なわせることが考えられ、談合がいっそう容易に行われる可能性があることから、工事契約の入札では11年度から事前公表を行わないこととした。
政令指定都市で予定価格の事前公表を取りやめるのは札幌市と浜松市、岡山市に続く4市目。
このほかの改正は、低入札価格調査の強化策で、落札候補者に対し法令順守と契約の適正な履行を書面で誓約させるとした。最低制限価格の対象範囲は10年7月に「6億円未満」に拡大しており、6億円以上の工事は、4月に施行する契約条例の一部改正により、作業報酬を確保する規定を適用する。また、▽同一企業の低入札による受注制限▽監理技術者などの複数配置▽入札ボンドの導入―などについて、今後も検討を続ける。
法令順守の強化では、市発注工事で独占禁止法違反などが行われた場合、指名停止措置の最短期間を6カ月から12カ月に改正する。
総合評価方式については、評価項目に▽障害者雇用▽建設業労働災害防止協会への加入▽男女共同参画―を加える。現在の評価項目にある「災害時における川崎市との協力体制」は、実際に行った活動の評価を高くするなど、評価基準の引き上げを検討。施工実績を認める期間は「13年」を「14年」に延長する。
最低制限価格については、市内業者から要望のある「80%」の下限は競争性を高率で阻害する恐れがあるとし、引き続き他都市の状況を注視しながら検討する。現在の設定額は、予定価格の3分の2を下回らない範囲。