静岡県は、国土交通省からの東日本大震災への対応要請を受けて、災害応急対策を優先するために中断が必要と認められる工事・業務などを対象に一時中止することを検討している。具体的な工事や業務の内容については現在、庁内で調整しているが、国の要請に沿った形で対応策を練っているもよう。
3月11日に発生した東日本大震災は、東日本に甚大な被害をもたらし、工事目的物に損害が生じたりする事態が数多く起こっている。県内には大きな被害がなかったものの、当面は、災害応急対策を最優先で実施することが求められている。
こうした状況を踏まえ、国交省は直轄事業で受注者に対し▽施工できなくなった工事・業務▽当面の災害応急対策を優先して中断すべき工事・業務―を対象に一時停止命令を発すること決定。16日付で、静岡県を含めた全国の都道府県・政令市に対し、建設会社が当面の災害応急復旧に全力を尽くせるよう、施工中の公共工事について、一時中止を指示するよう要請した。
この要請を受けて、県では今後の対応を検討。
県内では、今回の地震で施工不可能となった工事は、18日現在で報告が上がってきていない状況。ただ、工事契約書第20条第1項の「天災などにより工事目的物などに損害を生じ、または工事現場の状態が変動したため、受注者が工事を施工できないと認められる時は、発注者は受注者に工事の一時中止を命じなければならない」という規定を踏まえ、この規定を適切に運用することで、一時中止命令を行うことも検討している。
一方、当面の災害応急対策を優先して中断する工事・業務についても、県では対応を協議している。対象となる工事についても「現在、検討中」(県交通基盤部)としており、災害応急対策に建設機械、資機材の調達や技術者の確保など建設企業の協力が不可欠であるとの観点から、施工中の工事が被災していない場合でも、施工者の意向を踏まえ工事の一時中止を命令するものとみられる。
建通新聞社 静岡支社