福島建設工業新聞社
2011/03/18
【福島】南相馬市/応急復旧限界近づく/燃料食糧不足深刻
11日に発生した東北地方太平洋沖地震で甚大な被害が出ている南相馬市の石川俊氏(石川建設工業社長)と14日、電話がつながり現地の状況と建設業者の対応を聞いた。草野清隆県建設業協会相馬支部長とは地震直後から連絡がとれないため、副支部長の石川氏が県、南相馬市、自衛隊と調整しながら応急対応を行っている。
石川氏の話は次の通り。
■被害状況■
相双地区は壊滅的な被害だ。14日現在、県道川俣原町線は避難する人の車で川俣まで渋滞している。南相馬市の海岸から国道6号にかけては大津波でテレビに映る宮城県大船渡市と同じ惨状。海岸線がなくなり古くからの埋め立て地の田畑には海が広がっている。JR常磐線富岡町は無くなった。南相馬市鹿島区の真野川漁港は壊滅、周囲の松林も津波で無くなり遠くからでも海が見える。漁民もいなくなり漁港が再生できるのか分からない。国際的なサーフィン大会が開かれるCCZは跡形もない。原町火力発電所は全滅、高圧線の鉄塔も倒れた。
■地元建設業者の対応■
各社の社員、その家族には多くの死傷者が出たが、避難しなかった社員を中心に広範囲で作業を展開している。緊急車両を通すため、瓦礫を取り除き1車線〜1・5車線を確保する作業を行っている。がれきの中から次々と遺体が見つかり、火葬が間に合わない。原町区上渋佐から国道6号までは遺体多数。南相馬市だけで死者2000人との話も出ている。
12日から作業を行っているが原発事故に強い不安を抱いている。14日の福島第一原発3号機の爆発音が原町区でも聞こえた。ガソリン、軽油などエネルギーが底を尽きかけており作業の継続は難しい。食料も不足している。会社としては竣工間際だった工事、仕掛かり工事の出来高分の支払いがなければ近く経営破たんに追い込まれる。対策を強く求める。国・県・市町村行政横断の「相双地区特別復興部」のような組織が必要だ。