建通新聞社四国
2011/03/18
【愛媛】建設業BCP等審査会を設立 県
愛媛県は、先日発生した東日本大震災や今後発生が予測される東南海・南海地震などの大規模災害時に、迅速な応急対策が求められるとして、自治体で全国初となる「えひめ建設業BCP等審査会」を設立、今後、県内の建設業者に広く建設業BCPの普及促進を図る方針。2011年度には県の入札参加資格「一般土木A等級」を対象に全3回の審査会を開催、12年度以降は11年度の認定状況を見ながら段階的に申請対象を拡大していく考えだ。
BCP(BUSINESS CONTINUITY PLAN)は事業継続計画。事業継続とは災害や事故にあった場合でも、@重要な事業活動を中断させないことA目標復旧時間までに重要な事業を展開させること。BCPでは前もって人やモノ、情報の準備を行ったり、災害発生時の対応方法や組織を定める。
10年8月現在、県との大規模災害協定締結業者数(一般土木)は520社で、有資格業者数1084社の約半数となっている。これは5年前の05年協定締結業者約750社と比べると30%の減。さらに、技術者は約6200人が約5000人で19%減、確保重機数(掘削機械)は約3600台が約1900台で46%減となっている。このほか、協定締結業者がいない地域や少ない地域も残っている。これらを踏まえ、県では県民の安全・安心の確保を目的に、広く県全体に建設業BCPの普及を促進することとなった。BCPの認定制度は、国土交通省の四国地方整備局と関東地方整備局が導入しているが、自治体で導入するのは愛媛県が初めてとなる。
えひめ建設業BCP等審査会は、柏谷増男氏(建設業BCP懇談会愛媛県部会長・愛媛大学名誉教授)を会長、鳥居謙一氏(愛媛大学防災情報研究センター長)を会長代理とし、梅田和男土木部管理局技術監、松本正二郎東予地方局建設部長、三好次男中予地方局建設部長、藤ア茂南予地方局建設部長の6人で構成。3月14日に愛媛県庁で開催された設立会では、設立趣旨や要綱制定が報告され、議事では審査要領や今後のスケジュールについて話し合った。
柏谷増男会長は「東日本大震災でも、一番大きな役割を果たすのが地元の建設業者。BCPは会社経営の存続としても重要。業者には負担になるだろうが、2年ごとの見直しの中で少しずつ改善していきたい。そして地域の防災力を高めていきたい」と語った。
建設業BCPの確認項目は▽重要業務の選定と目標時間の把握▽災害時の対応体制▽対応拠点の確保▽情報発信・情報共有▽人員と資機材の調達▽訓練の実施。申請受付後、学識者や県職員の8人で構成する下部組織の審査部会で書類審査や面接審査を行う。審査会で適・不適判定され、基準を満たした県内の建設業者に認定証を交付する。認定の有効期間は2年間。認定を受けた企業に対しては、公共工事の入札の際に優遇措置が受けられる制度の導入も検討されている。また四国建設業BCP等審査会で認定された建設関連企業は認定証の有効期間内で認定された企業と見なすとしている。審査会は半年ごとに開催することを基本とするが、必要に応じて適宜開催する。