静岡県は10日、2011年度の公共工事における入札・契約制度の改善策を発表した。主な改善事項として、@建設工事の総合評価方式・ダンピング対策実施方針A現場代理人の常駐事務緩和B建設工事請負契約約款の改正C建設関連業務の入札契約制度改善策D入札参加想定業者数の変更−が挙げられる。ここ数年では変更・改善事項が最も多く、県工事の請負業者とって、早急な対応が求められる。
そこで、今回からシリーズで改善策の内容を連載する。まず、10年度目標を200件上回る500件の実施を計画している総合評価方式の実施方針などを紹介する。
【静岡県の2011年度入札・契約制度改善策=@建設工事の総合評価方式・ダンピング対策実施方針】
総合評価方式の拡大として、原則実施の価格帯を10年度の「1億円以上」から、11年度には「5000万円以上」に引き下げる。総合評価対象工事の拡大によって、実施目標件数を500件程度(10年度は300件)に設定している。一方、ダンピング防止対策の強化として、施工体制の確保を審査要素に加味する「施工体制確認型総合評価方式」を試行。技術提案加算点の上限を引き上げることで、企業の技術力により比重を置いて審査する。
これまで、県発注工事では「価格と品質が総合的に優れた調達」を実現するため、総合評価落札方式の対象工事を段階的に拡大してきた。11年度には、5000万円以上の工事で原則実施するほか、1000万円以上5000万円未満の工事については、発注件数のうち約30%の案件を総合評価方式の対象とする。
全体では、10年度目標件数を200件上回る500件で総合評価を実施し、施工品質のより一層の向上につなげる。
《上限引き上げで技術加算点を重視=施工体制確認型総合評価》
新たな取り組みとしては、「施工体制確認型総合評価方式」を試行する。
施工体制が確保できるかどうかを、審査要素に加味する(施工体制評価点の創設)ほか、技術提案の内容に応じて与えられる技術提案加算点の上限を引き上げる。価格評価点のウエートを抑えるとともに、技術評価など価格以外の評価をより一層重視する。
具体的な実施目標件数は示していないものの、県では「規模が大きな工事を対象に数件程度試行する」としている。
《評価値算定上の入札価格を調査基準価格に固定=ダンピング対策》
工事のダンピング対策としては、総合評価方式での評価値算定上の入札価格を調査基準価格に固定する。これは、入札価格が低入札調査基準価格を下回った場合でも、調査基準価格とみなした上で評価し、評価値を算定する。調査基準価格を大幅に下回る応札価格で見られるような、「安い」という理由だけで価格評価点が極端に伸びるケースを防ぐ。
低入札調査基準価格を下回って契約した場合には、契約保証金を通常の1割から3割に引き上げるほか、技術者、補助技術者、現場代理人の配置を義務化し、兼務を認めない。低価格帯での応札をできる限り抑止するとともに、粗雑工事による損害を回避させる考えだ。
建通新聞社 静岡支社