建設新聞社
2011/03/10
【東北・宮城】 高規格道路2事業の継続承認/東北整備局が第5回事業評価監視委員会
東北地方整備局の2010年度第5回事業評価監視委員会が9日に開かれ、将来交通需要推計手法の改善を踏まえた事業の総点検でB/C(費用対効果)が1を下回った、日本海沿岸東北自動車道大館北〜小坂と東北中央自動車道米沢〜米沢北の2事業を原案どおり継続妥当と判断した。日沿道大館北〜小坂はIC形状などの見直しで62億円を削減しB/Cが1になった。中央道米沢〜米沢北は福島JCTから米沢北IC区間のB/Cが1を上回っていることを評価した。
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東北整備局は11年度予算に向けた道路・港湾事業の総点検で、道路・港湾93事業を対象に個別事業評価を行った。このうち道路78事業については、従来より厳しい将来交通需要推計手法の改善を反映した結果、日沿道大館北〜小坂のB/Cが0・8、中央道米沢〜米沢北は0・9と、高規格幹線道路2事業が1を下回った。
日沿道大館北〜小坂は秋田県大館市商人留地区と小坂町小坂地区を結ぶ延長14`bの自動車専用道路で、1998年に都市計画決定、2004年度に着工。事業は705億円を見込んでいた。
今回の再評価に当たって整備局は大幅に事業費を見直した。具体的には当初、大館北ICは商人留地区に料金所を設置するトランペット型の計画だったが、新直轄方式で無料化区間になることから料金所が不要になったほか、ダイヤモンド型ICを国道7号釈迦内交差点に設置することで43億円削減する。また、ネクスコの標準設計仕様だったトンネルを見直し、断面を71・4平方bから65・4bに縮小することで7億円削減。このほかジェットファンの規格見直し(大茂内第二トンネル8台→3台)で1億円、トンネル排水工へのスリップフォーム工法採用で約2億円、トンネル掘削土の重金属処理で6億円、発生土の有効利用で3億円の縮減を可能にした。
これによりB/Cは区間内が1・0、残事業が2・6となり、事業継続が承認された。
一方、中央道米沢〜米沢北は山形県米沢市万世町と同市窪田町を結ぶ延長9・0`b。1997年度に都市計画決定し、2008年度に着工した。総事業費は334億円、うち93億円を執行済みで進捗率は27lとなっている。
B/Cは区間内で0・8だが、福島JCTから米沢北ICまでの区間で見ると1・2、残事業で1・1となることから、継続妥当とした。
道路事業の評価方法について委員からは、交通量推計の見直し結果で道路整備が遅れている地域の評価が小さくなり、さらに遅れることが予測されることを懸念する意見が出た一方、肯定する意見もあった。これを踏まえ、社整審道路分科会・地方小委員会であらためて評価の在り方を検討することにした。
防災効果大きい5事業も継続
委員会ではこのほか、道路事業のうち特に防災面で効果が大きいとされる5事業について、走行時間短縮、走行経費減少、交通事故減少の3便益以外の効果を考慮し審議した結果、すべて事務局の原案どおり継続妥当と判断した。
対象は▽一般国道13号院内道路(秋田)▽一般国道45号尾肝要道路(岩手)▽同普代バイパス(同)▽一般国道47号新庄古口道路(山形)▽同高屋道路(山形)|の5事業。各事業では災害による迂回解消を含めた走行時間の短縮のほか、災害による被害の回避や地域住民の不安感の解消などを整備効果に挙げた。
委員からは、産業面から地域に貢献する効果が大きいと評価する意見があったほか、用語や定義を整理し、整備効果について分かりやすく示してほしいとの要望が出された。