北海道建設新聞社
2011/03/10
【北海道】札幌駅前地下歩行空間の開通効果を日銀がレポート
日銀札幌支店の宇平直史支店長は9日の定例会見で、JR札幌駅周辺と大通の両地区を結ぶ札幌駅前通地下歩行空間が開通し、両地区を行き交う人の流れが増加すれば「中長期的に周辺地区の地価は上昇に向かう」との考えを示した。併せて、地下歩行空間の開通効果に関するレポートを発表。両地区の周遊人口は最大で5万4000人に上るとした。
宇平支店長は、12日の地下歩行空間開通が新たな個人消費を呼び起こす可能性があり、道内経済全体に良い意味での刺激を与えると指摘。両地区の周遊人口をいかに増やすかが今後の課題で、これを解決することで地価の維持や上昇、オフィスビルの需要回復に結び付くとの考えを示した。
また同支店がまとめた「札幌駅前通地下歩行空間開通の効果について」と題した金融経済レポートで、2大商圏である両地区が結ばれると衣・食を中心とする個人消費が伸び、利用者には移動手段の多様化、移動時間の短縮といったメリットが生じるとした。
両地区の周遊人口については、地下街のオーロラタウンとポールタウンが開通した1971年と同様の効果が生じることを前提に試算。地下歩行空間を利用して両地区を行き来する人は、1日当たり4万5000人から5万4000人に上るとみている。
同支店では、人の流れの増加を各商業施設がいかにビジネスに結び付けるかが、開通効果を高めることにつながると提言。課題として、通行量全体の約3割を占める20歳台や30歳台の女性のライフスタイルに合わせた営業時間の見直しや店舗展開、周辺ビルと地下歩行空間とのスムーズな連結、エリア別に扱う商品やサービスに違いを持たせるといった相互補完的役割の強化を挙げている。
担当者は「両地区の魅力度が高まれば、既存ビルへの新たなテナント進出や老朽化したビルの建て替え、改修の促進にも結び付く」と話している。