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建設経済新聞社
2011/03/09

【滋賀】草津川跡地整備事業 23年度に基本設計 新たなまちづくり具体化へ

 草津市は、草津川跡地利用基本構想の具体化へ向けて、23年度当初予算案に整備費6601万7000円を新規計上した。先行整備区間をJR琵琶湖線からJR東海道新幹線までの区間に設定、同区間の基本設計作業を進める。同委託時期は早ければ6月の見通し。24年度に実施設計、25年度に工事着手が見込まれる。
 市は今年度にまとめた基本構想で、緑、歴史、防災、交通の4つの機能を基本とする整備を計画。対象範囲は、草津川廃川敷地(JR東海道新幹線〜メロン街道)L5・7qおよび琵琶湖からメロン街道までの河川敷L1・3qの合計L7・0q。現状の草津川跡地は幅員約60m〜110m、面積約40・0f。
 対象地を東端のJR東海道新幹線側から順にA、B、C3つのゾーンに区分し、緑、歴史、防災、交通の4つの機能を実現するための土地利用イメージを設定。さらに市民ニーズ、社会的ニーズ、現況の土地利用等を踏まえて、西端の琵琶湖側から@〜Eの順に6つの区間に区分した。
 先行整備を予定するAゾーンは「にぎわいのある歴史的な空間」。渡しの再現など、街道と天井川の歴史を伝える施設や宿場まつりへの対応を含めた魅力ある歴史広場の整備や、桜などの観賞広場の整備を行うとともに、観光を支援する駐車場を確保する。
 商業、住居エリアの区間D(JR琵琶湖線〜国道1号)では、天井川の堤体保全やオープンカフェなどの民間活力の導入によるにぎわいのある店舗等の設置を通じて「人と出会い歴史を伝えるにぎわいと緑の創出」を目指す。堤防整備の方向性では、JR琵琶湖線〜草津川橋の間で堤体の保全を行うが、左岸堤防については、歩行者・自転車道が必要有効幅員を満たしていないため、拡幅整備が必要と考えられる。
 工業、住居エリアの区間E(国道1号〜JR東海道新幹線)では、街道文化を伝えるシンボル広場や四季折々の花木を配植した花の観賞広場などを整備し、「連携と協働による緑の創出」を目指す。
 Bゾーンは「市民に身近な生活空間」。
 住居エリアの区間B(浜街道〜大津湖南幹線)では、ゲートボール場などの高齢者の健康づくり施設や多目的広場、休憩施設、散策路、遊具などの市民が身近に憩いふれあえる広場の整備を行い、「身近に憩いやすらぐ緑の創出」を目指す。
 住居エリアで運動施設が併設する区間C(大津湖南幹線〜JR琵琶湖線)では、隣接する未利用地と一体的な利用を図りながら、市民の利用ニーズを反映した施設の整備、多目的グラウンドなど魅力あるスポーツ施設の整備、オープンカフェなど民間活力の導入によるにぎわいのある店舗等の設置、市民が身近に憩いふれあえる広場や桜などの観賞広場の整備を行い、環境面や災害面などに十分配慮した安心安全をキーワードとした新しい住空間モデルの創造に向けて、「人が集いスポーツに親しむ緑の創出」を目指す。沿川の野村運動公園や未利用地との一体的な土地利用を図るために、堤防を除去し平地化することを基本とする。
 Cゾーンは、「潤いのある自然を生かした空間」。
 河口部の区間@(湖岸道路〜メロン街道)では、ビオトープなどの自然生態系の再生整備、散策路や親水空間などの自然にふれあえる空間の整備を行い、「河川環境を保全する緑の創出」を目指す。
 農地の多い区間A(メロン街道〜浜街道)では、市民農園や学習農園などの日帰り型農業体験施設の整備、自然体験型の広場の整備、コンポストなどの資源の循環・再生施設の整備を行い、「農と関わり自然を学ぶ緑の創出」を目指す。
 このほか、各ゾーン(区間@〜E)を縦断し、琵琶湖と市街地を結ぶ緑軸を生み出す。具体的には、ビオトープや農村、身近な広場の整備を通じてうるおいとやすらぎを感じる緑を創造することで、特色ある新しい景観(魅力)の創造を図る。また、草津川跡地固有の親しみある桜並木などの保全・活用を通じた地域における歴史の継承も目指す。
 また、区間A〜Eまで、都市の防災機能を強化。広場などのオープンスペースを配置し、災害時の退避場所や集合場所を確保するとともに隣接する広域避難所との連携を図り、防災対策を進めます。非常時にはテントとなるパーゴラ(つる性の植物を絡ませる木材などで組んだ棚)や非常用便槽の設置、防火樹林帯や地下貯水槽などの設置を検討し、非常時の対策を進める。
 同じく区間A〜Eまで、交通機能(車道)を整備。東西のモビリティを高めるとともに、防災時にも利用できる環境にやさしい道づくりを進めます。具体的には、東西のモビリティ向上を目指しつつ、環境にも配慮した高機能舗装(騒音低減、水はね抑制)による2車線道路の整備や、光害に配慮した道路照明など環境にやさしい道の整備を目指す。また、それぞれの区間の主要な南北道路との交差部には、バス停・駐車場・駐輪場など乗り継ぎをスムーズにしモビリティを高める役割を有する主要結節点や結節点を配置し、交通機能を強化する。これらの交通結節点には、シェアリング方式のレンタサイクルの設置も想定している。
 事業着手にあたっては、草津川跡地に隣接する都市公園や大規模空閑地などの公共空間も含めた一体的な整備や管理運営に、PFIやPPPといった民間活力の導入を検討する。
 草津川跡地へのアクセスなど道路整備の検討では、区間A〜Eの堤防上に道路施設を導入。適切な位置に草津川跡地へのアクセス路を確保し、これまでの地域分断の改善や市街地の連絡機能を向上させる。区間Dで将来整備予定の都市計画道路宮町若竹線との交差部は、今後の設計段階において、両岸堤防の切り通しによる堤体や桜などへの影響、効果的な交差形態などに十分配慮した整備方法を検討。旧中山道に位置する草津川マンポは、今後の設計段階において、現状維持か、あるいは拡幅等の機能強化を図るかについて、商店街や地域住民の声を聞きながら検討する。