福島建設工業新聞社
2011/03/01
【福島】木造促進で23年度に火災実験/国土交通省が委員会で答弁
昨年10月の公共建築物等木材利用促進法施行を受けて、木材の建築基準を検討中の国土交通省は、23年度に木造3階建ての学校の安全性を検証するため実大の火災実験を行う。また、官庁営繕の技術基準の新設については今月末をめどに策定すべく耐久性、耐震性など標準的な手法を検討している。
2月25日の衆議院予算委員会第8分科会で、石原洋三郎議員の質問に政府参考人として出席した川本正一郎国交省住宅局長、澤木英二官庁営繕部長が答えた。
石原議員は、国道13号福島西道路や東北中央自動車道など県内の道路網の整備方針などを質した後、現在検討中の木材の建築基準、官庁営繕の技術基準の進捗状況を質問した。
昨年5月に成立した公共建築物等木材利用促進法は同年10月に施行され、国に呼応して本県も低層建築物の原則木造化を促進する指針を策定するなど、全国的に木造の学校などが復活の兆しを見せており、国交省の両基準の策定が待たれている。
答弁でまず、川本局長は「昨年の法施行で、木材利用の観点から建築基準の規制を見直しする、それを推進するような規程が設けられた。これを受けて関係省庁とも連携しながらもう既に検討を開始している」とした上で「23年度予算案で、大変要望の強い木造3階建ての学校の安全性を検証しようと、実大の火災実験を行うといったような経費の計上を行った」「(基準法の)規制を見直すにはその検証も必要で、23年度しっかり行う。外国の規制も調べており、それと比較しながら必要な規制の見直しを進めていきたい」と見通しを示した。
また、澤木部長は「木造の建築物に関する技術基準については、平成9年に木造建築工事標準仕様書を策定して適用している」と説明しながら「昨年の木材利用促進法成立を受けて今年度末をめどに、木造建築物の施工に関する基準として木造建築物の設計関係の基準を新たに策定することにしている」「この基準では、耐久性や耐震性、構造計算などの設計に関する技術的な事項とともに標準的な手法を定めることにより、木造庁舎でも官庁施設に必要な性能を確保できるものと考えている」などと答えた。
石原議員は最後に、不燃材などだとコストが高くなってしまうこともあり、栃木県・茂木中学校のように他の構造と木造の混構造も視野に入れ、少しでも木材が普及拡大されることを求めた。