3日に開かれた静岡県建設業審議会で、県が検討資料として実施した建設産業の経営状況などのアンケート調査結果を示した。それによると、現在の経営状況が「非常に悪い」「少し悪い」と答えたのは全体の7割を占めた。今後5〜10年後についても同じく7割が「悪い」で、「良い」と答えたのはわずかに6%だった。
調査は、建設業協会会員企業565社と、非会員で入札参加資格を持つ435社の計1000社を対象に昨年12月に実施。314社の回答をまとめている。
調査結果によると、今後の経営の方向性について、「現状維持」と答えたのは58%で最も多く占めた。次いで「経営規模の縮小」が24%、逆に「経営規模の拡大」が10%、廃業という選択もわずかだがあった。単純比較はできないが、前回(2005年)と比べ、「経営規模の拡大」が8ポイント低下し、「縮小」が5ポイント上昇していた。
現在直面する課題は(複数回答)、「受注競争激化による収益率の低下」と「公共工事受注高の減少」を挙げたのが共に250社を超えていた。次いで「民間工事受注高の減少」が197社、「人材の確保」が107社などとなっている。
こうした課題解決に向けた「取り組みをしている」と答えたのは45%、取り組みを「検討中」が50%で、ほとんどの企業が何らかの対応を模索している。
具体的な取り組み内容を見ると(複数回答)、最も多いのが「民間工事の受注の確保」で205社、次いで「公共工事の受注の確保」が183社、「生産性の向上とコストダウン」が139社、「得意分野の技術力の向上」と「得意分野への重点化」が共に95社、「教育訓練の強化」が73社、「リフォームなど関連分野への進出」が70社など。
特に新分野進出への取り組みも聞いているが、「取り組んでいる」「検討している」が共に22%だった。実際に取り組んでいる分野は、環境・リサイクル業が最も多く142社、次いで農業が59社、介護・福祉業が56社、リフォーム・メンテナンスが54社などとなっている。
元請け下請け関係では、下請けの立場から問題にしている点として(複数回答)、「技術力を適正に評価せず価格だけで下請け企業を選定する」が72社で最も多かった。次いで「請負契約締結前に工事着手している」が60社、「請負金額の単価が原価に満たない」が55社、「関連業務を無償または低廉価格で引き受けざるを得ない」が49社、「手形の決済期間が長期化している」が48社など、さまざまな指摘が挙がっていた。
建通新聞社 静岡支社