北海道建設新聞社
2011/01/25
【北海道】ハイブリッド除雪車、13年実用化へ今冬からフィールド試験
日本除雪機製作所(本社・札幌)は、ディーゼルエンジンと二次電池によるハイブリッドで車体を動かす、次世代のロータリー除雪車「HTR145HV」を開発した。インバーターによる高効率な駆動制御のほか、アイドリングストップ機能などを備え、従来機よりも燃費を鴕%ほど抑えられるという。今冬からフィールド試験を重ね、2013年の実用化を目指す。
除雪幅1500_で歩道や狭い道路などが中心の「HTR145」をベース車両に、発電機や二次電池を搭載してハイブリッド化を図った。
エンジンは発電機を作動させるだけで、モーターで駆動する「シリーズ・ハイブリッド方式」を採用。発電機から生まれた電気をインバーターを介してモーターへ送り込み、駆動する仕組み。
インバーターで振り分けられた電気の一部は二次電池に蓄えられ、かき集めた雪をブロワで遠くへ飛ばすなど、大きな力が必要な作業の際にアシスト用として使う。ブレーキ時に発生するエネルギーは、モーターから回生して充電することも可能という。
二次電池は、川崎重工業(本社・東京)が産業用に開発した大容量ニッケル水素電池「ギガセル」。セルのエネルギーロスが少ないため、高速で充放電できるのが最大の特長だ。路面電車のほか、風力発電や太陽光発電の出力安定化としての用途が期待されている。
エンジンは3リッターで、従来よりも小型化。一般的なエンジン車は、最高出力など排気量の大きさが重要視されるが、ハイブリッド車では効率が求められることから、作業に伴う出力の平均値を取り、できるだけロスの少ないサイズを選んだ。エンジン自体のパワーは?馬力と従来型から鴕%ほど落ちるが、駆動モーターの最大出力は150馬力あり、作業に必要なパワフルさは変わらない。
このほか、ヘッドライトに省電力のHID(高輝度放電ランプ)、ブレーキランプと作業灯にはLEDを使うなど、消費電力抑制に向けて細部まで配慮した。
今後は、バッテリー残量のリアルタイム把握や発電と駆動の電子制御などを検討しながら、より完成度を高める考えだ。
同社では「ロータリー除雪車だけでなく、凍結防止剤散布車や鉄道用作業車、重量物運搬車などを扱っているため、今回のハイブリッド機の開発を契機に、さまざまな車種へ電気技術を応用させたい」と話している。