建設業の新規参入事業として「茶園」への参入について検証を進めてきた京丹後新規農業活性化協議会(岡野益巳管理者)が21日、京丹後市の京丹後建設会館で開かれ、最終報告を行った。
同協議会は、建設業が公共投資の減少と競争の激化により雇用の維持が厳しい現状にある一方、農業の現状が高齢化・過疎化で耕作放棄地が増加している中、土に携わる関係者同士が人材や資材を有効活用することにより地域活性化を図ることを目的に21年8月に設立。23年2月までを事業期間としており、今回が最終の成果報告となる。
会の冒頭、社団法人京都府建設業協会の平岡幹弘専務理事が挨拶に立ち、「建設投資が落ち込む中で大変厳しい状況ではあるが、人材・機材のノウハウを十分に生かして、地域の活性化を図り、開発など取り組みを進めていただいている。異業種との共同取り組みは荷の重い事業ではあるが、4つの協議会がある中でも一番順調である。これも熱心な取り組みの成果」と述べた。
報告会では、腐植含量の低い山林を切り開いた農地で茶の生産性を上げるため、堆肥散布機械による作業性やコスト等を検証する機械を利用した茶園への堆肥投入実証試験、点滴堆肥システムによる老朽果樹園の茶園への転換実証事業にかかる茶樹の生育状況、弥栄町坂野団地20aにおけるアルカリ土壌による生育不良茶園の土壌改良―など各種取り組んできた事業について報告した。
とりわけ、京丹後市網野町島津2団地で検証を進めてきた茶園への堆肥投入実証試験については、5年生のやぶきたを供試品種に5t/10aのもみ穀牛ふん堆肥を散布するとして、▽乗用型管理機区▽自走式堆肥散布機区▽野菜運搬車区(丹後地域慣行)―の3つの散布方法で作業の効率性を検証。作業時間、コストを算定した結果、堆肥散布に多くの時間を費やす自走式堆肥散布機を除外した丹後地域慣行の野菜運搬車と乗用型管理機では、5haあたりの作業日数が前者が5・89日、後者が4・41日、コスト面では前者20万5537円、後者18万8249円となり、乗用型管理機の作業受託は生産者にとってメリットが高い結果となった。生産者側からは、「乗用型管理機の作業能力が優れていることを実感した」としながらも、「茶業経営は育成茶園が多く、収益より経費のほうが高い現状であるため、作業受託は困難」とし、「乗用型管理機をリースし個人で堆肥散布する方式が現実的」という成果も報告された。