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北海道建設新聞社
2011/01/19

【北海道】工事請負債権の電子化で建設業者の資金調達支援 

 【帯広】国の電子債権記録機関の認定を目指す「株式会社日本電子記録債権研究所」(本社・東京、小倉隆志社長)は、帯広市と連携し、工事請負債権の譲渡担保を電子化することで請負業者の早期資金調達が可能となる新システムの運用を早ければ2011年中に開始する予定だ。公共工事請負事業者の新たな資金繰り対策として全国のモデルケースとなる。
 同システムは、公共工事の工事請負債権について、08年12月施行された電子記録債権法に基づき電子債権記録機関が債権発生、譲渡消滅までを一元管理することで工事請負者の資金繰り早期化を支援するもの。
 09年7月設立の同社は、電子記録債権を活用した新たな金融サービスを提供する企画・運営会社。今春、帯広市内に出先を設置する予定。今夏から秋口にかけて金融庁から電子債権記録機関の認可を受ける見込みで、帯広市での業務開始は認可後になる予定という。
 資金繰りの流れとして、帯広市発注工事の工事請負者は、受注した工事請負債権を取引金融機関へ譲渡(譲渡担保)し、金融機関から工事出来高見合いの資金調達を受ける。
 下請けも元請けが発注した工事請負債権を下請けの取引金融機関へ譲渡し、金融機関から融資を受けることができる。金融機関への譲渡を細分化することで連鎖倒産リスクが回避され、従来よりも資金調達コスト軽減が期待できる。
 一方、発注者は財政的負担をせずに、工事請負者の財務的安定を図ることで公共工事を円滑に推進することが可能となるほか、工事請負者の円滑な資金繰りにより地域経済の活性化に貢献できる。
 金融機関は、公共工事請負債権を担保の対象とすることで@融資の安全性向上A事務コスト削減B貸倒引当金低減C預貸率向上―などのメリットがある。
 帯広市が全国に先駆けて新システムを採用するのは、昨年4月帯広市長に初当選した米沢則寿氏が民間出身で、ベンチャーキャピタル会社に勤務していたころに証券業界に広い人脈があったため。
 また、日本電子記録債権研究所は09年度に地域金融機関らと電子担保を活用した「北海道地域経済活性化協議会」を設置。その中で売掛金担保融資に電子記録債権を利用することが中小企業の資金繰りに役立つことも確認されている。
 帯広市は、08年度から下請けセーフティネット債務保証事業の拡充や地域建設業経営強化融資制度による金融円滑化を図ってきたが、建設業者の活用はまだない。同市は手続きの煩雑さや利率、出来高査定などで利用しにくいとみており、新たなシステムは担保電子化により早期の資金調達が可能となることから利用が増えるものと期待する。
 同社は、2月1日に帯広建設業協会の会員を対象に電子記録債権の説明会を実施する予定。