建通新聞社四国
2011/01/07
【愛媛】横断道新直轄区間は確保 政府予算案
2011年度政府予算案の閣議決定を受けて、愛媛県が県内重要施策の提案・要望について行った反映状況の調査によると、公共事業費確保の面では全般的に厳しい状況になっている。国土交通省の公共事業関係費(全国枠)は10年度比4%減の4兆6556億0600万円で、愛媛県などの社会資本整備が遅れている地域への重点配分については不明。3〜4月ごろに判明する県関係の事業個所ごとの配分額も厳しいものになると予想される。 また社会資本整備総合交付金(全国枠)は、内閣府計上の地域自主戦略交付金を加えても全体で2兆1298億7000万円で、10年度比3%減となっている。肱川などの河川改修事業、砂防関係事業、JR松山駅付近連続立体交差事業・周辺整備事業は、これらの交付金に含まれ、11年度実施予定に必要な額が確保されたかは不明となっている。
しかしながら、道路局の直轄事業費(国費ベース)は10年度から4%増で、このうち改築その他費(同)は対前年度比100%という状況のため、前年度並みの予算は確保される見込み。さらに新直轄区間の四国横断自動車道(宇和島北〜西予宇和間)については、11年度供用に必要な予算が確保される可能性が高いとみている。一方、宇和島市内で整備が計画されている高速道路「津島道路」の新規事業化は、国で高速道路整備の新たな仕組みづくりが検討中のため、不明としている。
大洲市で計画されている山鳥坂ダム建設は、検証対象ダムとなっており、新たに次の段階に入らず、現段階を継続する必要最小限の事業費のみとなっている。環境調査などの事業費は10年度比64%減の2億0100円。11年度政府予算案には生活再建に関する経費は見込まれていないもよう。
公立学校施設の耐震化関係費(全国枠)は804億6800万円、補正予算など1337億7100万円を含めると2142億3900万円となり、対前年度比は16%増となる。11年度に市町が要望している耐震化工事はすべて採択される見込み。しかし、公立高校は依然として補助対象外で、私立学校は不明。
海岸保全施設や避難路、緊急輸送道路などの整備に向けた財源確保も要望していた東南海・南海地震対策は、国土交通省の海岸事業費(全国枠)が10年度同等の223億1800万円となっているが、これらも個別内示については不明。
一方で、大洲市で進められている鹿野川ダム改造の事業費は33億9200万円で対前年度比2・11倍。検証対象外のダムとなっていて、トンネル洪水吐工事などを進捗させるための予算が確保されている。
直轄河川改修事業費(全国枠)は4%減の5685億4400万円に留まっていて、2年続けての減額で厳しい予算となっている。
港湾直轄事業(全国枠)は1%増の1666億4900万円。増額はされたが、国際コンテナ戦略港湾への重点投資を行うため、松山港外港地区の港湾整備事業の所要額確保は厳しい状況。また東予港の防波堤整備については、新規に採択されたかは不明としている。
公共施設の木材利用推進については、森林・林業・木材産業づくり交付金(全国枠)が対前年度比77%減の16億1000万円で、愛媛県が提案する木材公共施設全般に対象を拡大できない見込み。