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北海道建設新聞社
2010/12/20

【北海道】道内企業の設備投資、リーマンショック前に接近 

 道内企業の設備投資額が増えている。日銀札幌支店や北海道財務局の調査から、依然として水準は低いものの、リーマンショックの影響を受けた2009年度を底に、投資額が上向いている様子がうかがえる。円高の進行やエコカー補助金など消費刺激策の一部終了により、低迷状態に陥っているとされる道内景気。企業の設備投資意欲がどこまで持続し、企業規模を問わずに波及するかが、今後の景気回復の鍵となりそうだ。

 日銀札幌支店は、15日に発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)で、10年度の設備投資計画が前年度比32.9%増になるとの見通しを示した。9月の公表値を4.1ポイント上方修正した格好だ。業種別では、製造業が44.9%増、非製造業が27.2%増と判断。製造業は0.8ポイント、非製造業は5.9ポイントそれぞれ引き上げた。
 一方、財務局がこのほどまとめた法人企業統計調査では、10年7―9月の設備投資額(資本金1億円以上の企業、金融業と保険業は除く)が、前年度同期を37.9%上回る833億5300万円とした。あと一歩でリーマンショック前の水準という状態まで伸びている。
 日銀札幌支店によると、設備投資額を押し上げているのは、鉄鋼や輸送用機械、小売、卸売といった業種。鉄鋼や輸送用機械では設備などの維持更新、小売、卸売では新規出店、車両更新といった投資が見られるという。
 財務局が企業に対して実施しているヒアリング調査では「鮮度保持のため高機能の冷蔵庫を新設したい」(食料品)、「設備投資先送りはもう限界で、今後大規模な更新をする」(自動車・同付属品)など、意欲的な声がある。
 しかし、課題も潜んでいる。大企業の投資は確かに増えているが、中小零細企業の投資意欲はいまだ弱く、企業の投資マインドが、規模を問わずに広く改善しているとは言い難い。
 道財務局の法人企業統計調査からは、資本金1億円以上10億円未満の企業の投資額の伸びが、10億円以上の企業に比べて鈍いことが分かる。7―9月期だけで見ても、10億円以上の企業が前期(4―6月期)を大幅に上回っている一方で、1億円以上10億円未満の企業は半分程度に落ち込んでいて、対照的な結果となっている。
 日銀札幌支店の宇平直史支店長は「全体として、投資額は上積み傾向だが、投資を一切しないという中小零細企業はむしろ増えている」と指摘。投資意欲が多くの業種・企業に広がることが、設備投資の一層の増加をもたらし、足踏み状態に陥っている道内景気の回復を支えるとの認識を示した。