県は、地域再生基盤強化交付金の廃止に代わる新たな財源措置を、11月の中央要望(平成23年度国の施策及び予算に関する提案・要望)で求めた。内閣府が来年度予算の概算要求に同交付金を盛り込まず、このままだと市町村道や下水道などの地域再生計画を凍結せざるを得ないことから、財源の代替措置を国へ要望した。県内では同計画が13件あり、全体事業費372億円余のうち来年度以降も247億円余が必要。なかには石岡市と土浦市を結ぶ朝日トンネルや日立市の(都)金沢諏訪線(山側道路アクセス)もあり、これらの事業停滞が懸念される。
この地域再生基盤強化交付金は、地方の自主性や裁量性を高めるための補助金改革と地方再生の観点から創設された交付金。道、汚水処理施設、港の三つの分野で、省庁の縦割り所管を超えて一体的な施設整備の推進を可能としたもの。
だが、ことし8月に公表された来年度予算概算要求では、同交付金が盛り込まれず、現時点でそれに対する代替措置は講じられていない。
これは、本年度に実施した行政事業レビューの結果を受けてのこと。
同交付金の本年度予算額は全国で1034億円。この交付金が廃止されることで、39県と309市町村の事業に影響があるという。
本県では、来年度以降も引き続き同交付金を活用する地域再生計画が13件。全体事業費372億9615万7000円のうち、22年度までの事業費が125億8445万1000円で、来年度以降も残り247億1170万6000円が必要な状況。
特に「道」の部分にあたる道整備交付金は、本年度の当初配分額が38億5200万円と事業費ベースで全国1位。
主な箇所では、石岡市と土浦市を結ぶ(仮)八郷新治線(朝日トンネル)や日立市の(都)金沢諏訪線(山側道路アクセス)などがあり、これらの事業停滞が懸念されるほか、地域生活を支える市町村道、農道、公共下水道、農業集落排水の整備計画に影響が深刻な影響が及ぶのは必至だ。
県では、11月の中央要望で同交付金の廃止に代わる新たな財源措置を強く求めているほか、一部の首長も国へ直接要望。
一方、11月17日の参議院予算委員会では、加藤修一議員の質問に片山善博総務相と野田佳彦財務相が、継続事業に予算手当てする考えを示している。
だが、概算要求に盛り込まれていないことから、どう財源を捻出するかは不明確。年内を目途とした予算編成が待たれる。
来年度以降も実施を見込む県内13の地域再生計画は次のとおり。
【道】
◆地域財源を活かしたトカイナカ交流促進計画
◇土浦市=市町村道(H20〜24)
◇石岡市=市町村道(H20〜24)、林道(H20〜24)
◇小美玉市=市町村道(H22〜24)
◆「海」と「山」元気ひたち交流ネットワーク計画
◇県=広域農道(常陸太田市、高萩市)(H22〜26)
◇常陸太田市=市町村道(H22〜26)
◇日立市=市町村道(H22〜26)
◆圏央道TC整備のインパクトを活かした地域活力向上計画
◇県=広域農道(常総市、坂東市、つくば市)(H22〜26)
◇常総市=市町村道(H22〜26)
◇坂東市=市町村道(H22〜26)
【汚水処理施設】
◆阿見町「人と自然がつくる楽しいまち再生計画」
◇浄化槽(H19〜23)
◆那珂市「魅力ある快適な環境づくり計画」
◇公共下水道(H20〜23)
◇農業集落排水施設(H22〜23)
◇浄化槽(H20〜23)
◆小美玉市「水とふれあう快適生活計画」
◇公共下水道(H20〜24)
◇農業集落排水施設(H20〜24)
◇浄化槽(H20〜24)
◆水戸市「人と自然が共生した市街地周辺生活環境再生計画」
◇農業集落排水施設(H21〜25)
◇浄化槽(H21〜25)
◆古河市「自然と共生した安全で快適な暮らしづくり再生計画」
◇農業集落排水施設(H21〜25)
◇浄化槽(H21〜25)
◆行方市「誇れる湖霞ケ浦再生計画」
◇農業集落排水施設(H21〜23)
◇浄化槽(H21〜25)
◆つくばみらい市「水と緑の輝くみらい再生計画」
◇農業集落排水施設(H21〜25)
◇浄化槽(H21〜25)
◆ひたちなか市「暮らしと水環境の共生計画」
◇公共下水道(H22〜26)
◇浄化槽(H22〜26)
◆かすみがうら市「母なる湖霞ケ浦再生計画」
◇公共下水道(H22〜24)
◇浄化槽(H22〜24)
◆鉾田市「安心して楽しめる水環境再生計画(第2期)
◇公共下水道(H22〜26)
◇農業集落排水施設(H22〜24)
◇浄化槽(H22〜26)
提供:日本工業経済新聞